研究課題/領域番号 |
23592909
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
西川 哲成 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (70140209)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 骨再生 / 骨増生 / 骨足場材料 / サンゴ / 生体吸収 / 新生骨による置換 / 三次元培養 / 口腔機能回復 |
研究実績の概要 |
歯を失った患者の口腔機能の回復には顎骨の増生が必要である。そこで、抜歯後の骨の再生、さらには増生を促すことを目的とした足場材料が求められる。今回多孔性で物理学的強度を保持しつつ、一方で酸性条件下で容易に溶けるサンゴを骨増生に応用した。 イヌの大腿骨に実験的欠損部を作製し、その中にサンゴを埋入し、フィルターでカバーしたところ、埋入後12週でサンゴ内腔には新生骨による実験的欠損部の再生と、骨表面での増生が認められた。さらに、50週では埋入したサンゴは新生骨と置換し、消失していた。また、ラット頭蓋骨の骨膜下にサンゴブロックを置いた場合、埋入後24週でサンゴ内腔に新生骨が形成され、骨表面に骨増生が認められた。また、50週ではサンゴは吸収され消失していたが、イヌの大腿骨やラットの頭蓋骨におけるサンゴの生体吸収が認められる一方でそれらにおける骨増生の量は減少していた。 ヒトの毛細血管細胞と線維芽細胞の共培養の中に多孔性サンゴ粒子を添加したところ、サンゴ表面、さらには孔内にもこれら細胞の増殖と毛細血管への分化が観察された。このことから三次元培養の材料としてもサンゴは有用であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回のイヌ大腿骨あるいはラット頭蓋骨にサンゴを用いたところ骨の増生さらにはサンゴの生体吸収が認められたが、埋入後50週の長期観察では骨増生の量の減少が認められた。これら生体埋入の実験では長期観察の必要性が生じたためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今回のイヌまたはラットにおける骨の増生の実験では、埋入後50週の長期観察で増生した骨量の減少が認められた。これら骨増生を長期間維持する方法の開発が望まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度ではビーグル犬顎骨および大腿骨へのサンゴブロックおよびインプラントの埋入実験を完了する予定であったが、イヌの体調不良(膿瘍)のため現在追加実験を進行中であり、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
そのため、追加実験の標本観察と成果発表を次年度で行うこととし、未使用額は物品費(染色試薬)、研究補助(標本作製・英文校閲)とその他(研究成果投稿料)に充当することとしたい
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