研究課題
口腔インプラント処置において、顎骨の状態とインプラント体の保持の質と量は、密接に関連がある。そのため、 顎骨の量が病気または手術の結果として減少するとき、骨再生だけでなく骨量の増加も望ましい。 さらに、生体に用いた骨足場は、新しく作られた骨と置き換わらなければならない。今回、骨量の増加と生体吸収性のある足場材料を開発するため、機械的強度を保持し多孔質構造をとるサンゴを試みた。円盤状の多孔質サンゴブロックを、マウス6匹の頭蓋骨表面の骨膜下に挿入した。 埋入術の12か月後に、カルセインと4日後にアリザリン赤を投与した。さらに3日後に、麻酔薬過剰投与により安楽死させ、頭蓋骨を摘出した。そして、埋入部位の頭蓋骨の未脱灰標本は共焦点レーザー走査顕微鏡で観察し、脱灰標本は通常のHE染色組織標本を作製し光学顕微鏡で観察した。共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した結果、6匹のマウスのうちの5匹では、多孔性サンゴブロックの内部空洞において、カルセインとアリザリン赤で染色された新生骨が頭蓋骨表面に観察され、骨量の増加が認められた。光学顕微鏡で観察した結果、埋入サンゴの内腔内には多くの骨細胞で縁取りされた新生骨が既存の頭蓋骨から延長して観察された。また、埋入部位には炎症性細胞と異物巨細胞はほとんど認められなかった。 6匹のマウス中2匹に、新生骨によって囲まれた骨髄とサンゴ骨格の消失が観察された。これらの結果から、サンゴブロックは生体吸収性であり、骨量の増加を誘導する足場材料であることを示唆する。
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