研究課題/領域番号 |
23592911
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三古谷 忠 北海道大学, 大学病院, 准教授 (10181869)
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研究分担者 |
今井 智子 北海道医療大学, 心理科学研究科, 教授 (60260907)
小山 明彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (70374486)
佐藤 嘉晃 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00250465)
須佐美 隆史 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80179184)
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キーワード | 歯学 / 臨床 / 口唇口蓋裂 / 口蓋形成術 / 顎発育 / 多施設比較 |
研究概要 |
北海道大学病院高次口腔医療センターでは、言語と顎発育をともに充足させ、しかも手術侵襲をより低減させることをめざして、骨露出創をほとんどつくらない一期的な口蓋形成手術法と下顎外側皮質骨を用いた顎裂骨移植手術法で構成された治療プロトコールを考案した。本研究は、本治療プロトコールの有用性を検証するため、従来からの治療プロトコール症例を対照として用い言語ならびに顎発育の臨床成績を比較検討する。 平成24年度は、当センターにおける一期的な口蓋形成手術法について5歳時の歯列模型を用いて咬合状態を検討した。 当センターに登録された片側完全唇顎口蓋裂の一次治療症例31例(男児15例,女児16例)である.平均5.2歳において模型採得を行い,5-year-olds' indexとHuddart/Bodenham indexの2つの評価法を用いて乳歯列の咬合評価を行った. その結果,本プロトコールによる治療では,他の国内2施設に比べて将来的に顎矯正手術が必要になると見込まれる症例の割合は最も低く,上顎のcollapseは小さい傾向があった.当センターを含む国内3施設と欧州4施設との比較では,欧州4施設において矯正治療を要しない,もしくは要したとしても簡単な矯正治療で咬合状態が改善すると見込まれる症例の割合は高く,将来的に顎矯正手術が必要になると見込まれる症例の割合は低かった.これは手術方法の違いによる結果というよりは人種差,すなわち長頭型か短頭型かの違いによるものが大きいと考えられ,国際標準の評価法とされる5-year-olds’indexは異人種間の比較には問題のある可能性が推測された. 当センターを含む国内3施設間ならびに欧州4施設間で5-year-olds’indexに大きな差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当センターの手術侵襲をより低減させるべく骨露出創をほとんどつくらない一期的な口蓋形成手術法、北大形成外科にて施行してきた粘膜骨膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的口蓋形成手術法、琉球大学口腔外科の粘膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的な口蓋形成手術法の3群について、5-year-olds' indexとHuddart/Bodenham indexの2つの評価法を用いて乳歯列の上下歯列弓関係評価を昨年に実施したが、その解析が途中となっている。
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今後の研究の推進方策 |
北海道大学高次口腔医療センターで考案した手術侵襲をより低減させるべく骨露出創をほとんどつくらない一期的な口蓋形成手術法、北大形成外科にて施行してきた粘膜骨膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的口蓋形成手術法、琉球大学口腔外科にて施行してきた粘膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的な口蓋形成手術法の3群について、5-year-olds' indexとHuddart/Bodenham indexの2つの評価法を用いて乳歯列の上下歯列弓関係の比較解析と4歳時と5歳時における鼻咽腔閉鎖と構音の評価を継続する。結果が得られた部分について論文にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
北海道大学高次口腔医療センターにおいて言語と顎発育をともに充足させ、手術侵襲をより低減させるべく骨露出創をほとんどつくらない一期的な口蓋形成手術法、北大形成外科にて施行してきた粘膜骨膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的口蓋形成手術法、琉球大学口腔外科にて施行してきた粘膜弁剥離によるpushback法を用いた一期的な口蓋形成手術法の3群において、上下歯列弓関の成績評価、言語評価の結果を総括して、国際学会への発表ならびに国際学術誌への投稿に際して英文校正の費用。
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