研究課題/領域番号 |
23592913
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 勇樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80451813)
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研究分担者 |
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
藤原 夕子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50466744)
菊池 正紀 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (00354267)
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キーワード | 再生医学 / 細胞・組織 / 歯学 |
研究概要 |
平成24年度は、本研究において非常に重要な成長因子の徐放化システムについて検討を加えた。代表的な骨形成性成長因子の一つであるFGF-2を用いて、生分解性ポリマーに内包し、成長因子含有顆粒を作製した。顆粒作製に関しては、成長因子溶液を固層化する方法を検討し、顆粒の作製に成功した。また、成長因子活性を維持するために、保護剤としてさまざまな生体材料の検討を行った。それぞれの生体材料を、固層化に用いられる有機溶剤に対しての成長因子活性の影響を検討したところ、ヘパリン、BSAなどといった生体材料を保護剤として使用することにより有機溶剤の影響はほとんどなく、成長因子活性もたもつことができ、成長因子含有顆粒の作製方法に重要な知見をえることができた。また、これらの製造法によって作製された顆粒から抽出した液性成分から成長因子の濃度を測定したところ、ヘパリンを用いた製造で作製された顆粒が最も成長因子含有率が高かった。加えて、細胞増殖を検討するため、ヒト軟骨細胞を4x10^4cells/6well plate, 2000cells/96well plateで播種し、顆粒抽出溶液を段階希釈で培養液に添加し、1週間培養を行った結果、抽出液添加により効果的な増殖が認められ、細胞生存率も基礎培地よりも有意に高かったことから、これらの製造法で作製された顆粒に含有された成長因子の活性維持が確認された。次に、これらの製法により作製された顆粒からの成長因子の経時的な徐放を検討するために、in vitroの実験系で4週までの成長因子の徐放量をELISAで測定したところ、継続的に徐放が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、本研究において非常に重要な成長因子の徐放化システムについて検討をおこなった。その結果、成長因子含有顆粒の作製方法に重要な知見をえることができた。さらに顆粒抽出液における成長因子含有量の評価、生理活性の評価などを実施し、成長因子含有顆粒の性能を確認することができた。さらには、同顆粒の徐放化も確認できたため、研究はおおむね計画どおりに進捗し、おおむね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年は、これまでの知見を集約し、ビーグルでの移植実験を行なう。ビーグルでの移植実験の結果を検討しつつ、適宜、セラミック/ポリマーコンポジットメッシュの条件や成長因子・サイトカインを含有した顆粒の作製にフィードバックをかけながら、最終的な結果をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には、皮質骨誘導型人工骨を用いたin situ再生骨組織のビーグル移植実験を行なう。ビーグル(1歳齢雄)の下顎に長さ3 cmの骨区域欠損を作製するセラミック/ポリマーコンポジットメッシュに欠損部と同等の形状を付与し、皮質骨誘導型人工骨を充填してin situ再生骨組織を作製し、下顎欠損部に移植しチタンスクリュースクリューで固定する。移植後2週、1ヵ月、2ヶ月でX線撮影をし、骨再生を評価するとともに、移移植後2ヵ月で移植組織を摘出し、マイクロCT撮影、非脱灰研磨切片観察、脱灰パラフィン切片による組織学的評価、などを行い、成熟した皮質骨の形成を観察する。対照には、皮質骨誘導型人工骨の代わりに成長因子・サイトカインを含有しない素材のみを使用する。
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