研究課題/領域番号 |
23592914
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
原田 浩之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40343149)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 組織弾性イメージング / 舌扁平上皮癌 / 縮小手術 |
研究概要 |
口腔癌の治療において、機能温存は重要な課題である。最近では、抗癌剤、放射線治療の進歩により多くの症例で高い抗腫瘍効果が得られることがわかってきた。われわれは、口腔扁平上皮癌進展例における術前TS-1・放射線同時併用療法の第I相試験を施行し、放射線治療4週間40Gyに併せて、TS-1 65 mg/m2×20日間投与を推奨用量と決定し、第II相試験に着手している。 本術前治療にて、腫瘍縮小効果が得られた症例の多くでは、腫瘍中心部に硬結が残存する。組織学的には、viableな腫瘍から瘢痕組織までさまざまである。この残存する硬結が腫瘍なのか瘢痕組織なのかの鑑別できれば、縮小手術・手術回避の適応基準の決定が可能となる。このための客観的方法を検察するのが本研究の目的である。 組織弾性イメージングReal-time tissue elastographyは組織の弾性を客観的に表示できる超音波断層法である。本法は乳腺・甲状腺腫瘍の悪性診断や、頸部リンパ節転移の診断に用いられているが、口腔癌の原発腫瘍の評価に用いた報告はない。術前化学放射線同時併用療法後の腫瘍中心部分を検索し、病理組織学的標本と対比させ、癌組織、瘢痕組織の半定量化を図る。なお、骨組織の画像評価は困難であること、周囲軟組織を統一するため、対象は舌癌stage III, IVを対象とした。 H23年度の本術前治療を施行した舌癌症例は2例で、そのstrain ratio は癌組織0.2%、瘢痕組織0.51%、正常組織1.8%であった。手術単独例の舌癌症例(n=10)では、癌組織0.16%、正常組織0.97%であった。組織弾性は癌組織>瘢痕組織>正常組織の順に高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H23年度の術前TS-1・放射線同時併用療法を施行した舌癌症例は2例と少なかった。手術単独例の舌癌症例は10例で、組織弾性は癌組織>瘢痕組織>正常組織の順に高い結果を得ており、今後症例を重ね明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
症例を重ねて、癌組織、瘢痕組織のカットオフ値を設定できれば、縮小手術におけるマージンの設定の基準となる可能性があり、これを最終目標とする。 近年、癌組織の弾性と悪性度の関連が指摘されており、癌組織のstrain ratio値と組織学的悪性度および予後との関連についてデータを蓄積しておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
癌組織、瘢痕組織のstrain ratio値と摘出標本の組織像との対比を行う(摘出標本、組織弾性イメージングともに最大割面を基準とし、再現性を計る)。 PETのSUV値, MRIのdynamic imageあるいは他の因子(硬結の大きさなど)を組み合わせることで、癌組織と瘢痕組織の診断精度が向上するかを検討する。
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