研究課題
歯根完成歯由来歯髄細胞群と比較して有意にiPS細胞誘導効率が高い歯根未完成歯由来歯髄細胞群は、OCT3/4とSOX2の2因子でもiPS細胞の誘導が可能で、これらの歯髄細胞群間でDNAマイクロアレイ解析を行ったところ、歯根未完成歯由来歯髄細胞群で平均5倍以上の発現量を認めた遺伝子群を28ピックアップした。このうちのDLX4は歯根未完成歯由来歯髄細胞群で約35倍の発現量を認めた。このDLX4をOCT3/4とSOX2の2因子とともに歯根未完成歯由来歯髄細胞に遺伝子導入したところ、iPS細胞誘導効率を有意に促進した。OCT3/4、SOX2、Klf4の3因子とc-Mycの替わりにDLX4を用いて遺伝子導入しiPS細胞を誘導すると、2因子導入群よりも40倍程度の誘導効率の増加を認めた。歯根完成歯由来歯髄細胞へOCT3/4、SOX2、Klf4の3因子とc-Mycの替わりにDLX4を用いてiPS細胞誘導を試みたところ、誘導効率は同程度であった。DLX4を用いて誘導したiPS細胞を用いて、未分化マーカーであるREX1やNANOGなどの発現量を解析し、三胚葉への分化を確認したところ、ES細胞と同程度の未分化性と多分化能を有していた。DLX4はヒト繊維芽細胞におけるiPS細胞の誘導効率も同様に促進した。以上よりiPS細胞誘導に於いて、DLX4が新規因子となりうることが明らかとなった。iPS細胞を誘導する際に、出現した全てのコロニーのうちの一部がES様コロニーとして成長するが、このコロニーの占める割合を検討したところ、OCT3/4、SOX2、Klf4、c-Mycの4因子導入群と比較して、OCT3/4、SOX2、Klf4、DLX4の4因子導入群では有意に高いことが明らかとなった。このことは、新規因子DLX4を用いることで良質なiPS細胞を得る事が出来る可能性を示唆した。
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Journal of dental research
巻: 92 ページ: 905 910
10.1177/0022034513502204