研究課題/領域番号 |
23592922
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森谷 徳文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60467751)
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研究分担者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90221936)
松村 達志 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70432648)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | CCN2 / C/EBP beta / C/EBP delta / グルココルチコイド |
研究概要 |
軟骨細胞においてCTGF/CCN2発現はグルココルチコイドの作用によって促進されることが過去の我々の研究で明らかとなっている。そこで本年度はまず、DNAマイクロアレイの手法を用い、軟骨細胞にグルココルチコイドを作用させた際の発現変動遺伝子、111個を同定した。これらの遺伝子について in silicoで検索を行い、CTGF/CCN2に関わりの深いと推測される遺伝子として、脂肪細胞分化に必須の転写因子として知られているCEBPB、 CEBPDの2つの遺伝子をピックアップした。続いて、real-time PCR法を用いてその遺伝子発現変動を定量的に解析し、これら遺伝子の発現促進を確認した。つまり、軟骨細胞に副腎皮質ホルモンの1つである糖質コルチコイドが作用するとCTGF/CCN2と供に、CEBPB、 CEBPD遺伝子の発現が促進されることが明らかとなった。この結果よりCTGF/CCN2はCEBPB、 CEBPDによって転写調節されている可能性があると考えた。これを検索するため、CEBPB、 CEBPD 遺伝子のRNAiおよびDNA transfectionによる強制遺伝子発現の手法を用いた。この手法に必要なsiRNAと強制発現ベクターを作成し、行った実験結果よりCTGF/CCN2がCEBPB、 CEBPDによって発現調節されている可能性が示唆された。 CCN2/CTGFは軟骨の成長・分化・組織再生因子として働くことが過去の我々の研究より明らかとなっており、今回の研究結果を元にCEBPB、 CEBPDが直接CTGF/CCN2発現をコントロールしていることが明らかとなれば、CEBPB、 CEBPDを介してCTGF/CCN2をコントロールし軟骨の成長・分化を導くことが可能となり、これが軟骨再生への鍵となる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CEBPBおよびCEBPDの強制発現ベクターの作成が極めて困難であったことと、RNAiの実験系確立も困難であったため、その作成と実験系の確立に予想以上の時間がかかってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
1、 CEBPB、CEBPDを含め、CTGF/CCN2の発現促進に直接作用する遺伝子を同定し、それを新規のCTGF/CCN2関連因子(New CTGF/CCN2 related factor:以下、NCRFと略す)とする。2、 同定したNCRFの軟骨細胞での局在・動態・機能をin vitroで解析し、軟骨代謝における役割を解析する。3、 NCRFの軟骨細胞分化における役割をin vitroで機能解析する。4、 NCRFを介してCTGF/CCN2を特異的に誘導する分子(NCRF induced molecule:以下、NCRFimと略す)を探索する。5、実験動物でNCRFまたは4で見出された分子が軟骨再生機能を有するか否かを検証する。 NCRFまたはNCRFimを特定し得なかった場合、いったんグルココルチコイド(デキサメタゾン;以下Dexと略す)から離れ、これまでとは逆の戦略をとる。つまりCTGF/CCN2遺伝子発現を誘導する小分子化合物、orphan ligandライブラリーをスクリーニングしCTGF/CCN2を特異的に引き出す分子を同定する。得られた分子については、その作用メカニズムを分子細胞生物学的通法に従って解析する。それに並行して4、5で述べた方法論に基づき、その軟骨再生効果を検討する。この方法そのものはDexと無関係だが、新たに見出された因子による、軟骨細胞における遺伝子発現プロファイルの変化を、予備実験のDexのものと比較することはCTGF/CCN2をとりまくシグナルパスウェイに新たな知見を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費は、消耗品として試薬、実験キット、DNA、RNA合成に使用する。旅費として、国内および外国で、資料収集のため研究セミナーへの参加と研究成果発表のため学会への参加に使用する。謝金等として、外国での研究発表や英語論文作成のため英文校正料と投稿料に使用する。その他、通信費、印刷費、複写費等に使用する。
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