研究課題/領域番号 |
23592930
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
砂川 元 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30112452)
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研究分担者 |
喜名 振一郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40422422)
仁村 文和 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (50457678)
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キーワード | 分子標的薬 / PDGFR / シスプラチン / Met |
研究概要 |
本研究の目的は、HPV感染細胞を癌化あるいは、癌の伸展へと促すリスクファクターを見出し、そのメカニズムを解明することである。得られた知見からHPV感染腫瘍に適した、治療薬、抗癌剤の使用を提案することを目的とした。まず初めに、HPV18感染細胞、HPV16感染細胞に酸化ストレスを加えた。研究の過程で、抗ガン治療そのものが、癌の伸展を促す要因であることが示唆された。過去何十年もの間、抗癌剤治療は、シスプラチンを主体として行われてきた。しかしながら抗癌剤を使用するにつれて耐性が生じ、取りうる手段がほとんどなくなるのが現状である。我々は、HPV 感染子宮頸がん細胞株であるCaski 細胞を用いて、抗癌剤耐性化を打破するために新たな分子標的薬の併用の可能性がないかを検討してきた。その結果、シスプラチン依存的にPDGFR が活性化され、HGFRであるMetタンパク質の発現が上昇する経路を見出した。PDGFR を阻害した結果、Met タンパク質の発現上昇が抑制された。シスプラチンとPDGFR 阻害剤を併用した結果、シスプラチン単独と比較して、癌細胞死が有意に高まることが示された。本研究で使用したPDGFR 阻害剤Imatinib は臨床上幅広く使用されている分子標的薬であり、HPV 感染腫瘍において抗癌剤耐性を阻止するための新たな治療戦略が提唱できるものと考えられる。最終年度には、新たな分子標的薬のターゲットとなりうる受容体型チロシンキナーゼを見出し、今後のさらなる研究の展開の道筋をつくれた。
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