研究課題/領域番号 |
23592931
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡貫 圭 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 助教 (50298907)
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研究分担者 |
藤内 祝 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50172127)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 口内炎 / サポーティブケア / 再生医療 |
研究概要 |
癌化学療法による口内炎は頻出する有害事象のひとつであるが、重篤になると口腔機能障害や感染症を引き起こし、患者のQOLを著しく低下させる。しかし、本邦での口内炎対策は消毒剤、消炎剤あるいは鎮痛剤が主でいまだ治療は確立されていない。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)は好中球減少症へ応用されている薬剤であるが、近年細胞上皮の分化・増殖促進効果が明らかになってきており応用が待たれている。本研究は口内炎患者の粘膜上皮の分化・増殖を目的にG-CSF含嗽製剤を開発し、さらにその有効性を検証して画期的な口内炎治療薬として臨床応用することを目的とする。平成23年は口腔癌に対して全身化学療法(TPF療法;シスプラチン、ドセタキセル、5ーFU)を施行した20症例のうち、有害事象において口内炎grade3以上に悪化した13症例を対象とした。振りわけはG-CSF含嗽群5例、プラセボ群8例であった。G-CSF含嗽群はgrade3(5名)→grade0(2名)、grade1(3名)と著しい改善を示した。プラセボ群はgrade3(8名)→grade4(2名)、grade3(5名)、grade2(1名)と口内炎はやや悪化傾向を示した。両群間には有意な差を認めた。疼痛に関してもG-CSF含嗽群は著しくVASは低下したが、プラセボ群は悪化傾向を示した。両群間には有意な差を認めた。摂食状況はG-CSF含嗽群は摂食状況の改善を認めたが、プラセボ群は摂食状況は変化無しあるいは悪化した。両群間には有意な差を認めた。いずれの評価においてもgrade3の口内炎が5日間の含嗽でG-CSF含嗽群は著しく改善し、プラセボ群は改善はなく、むしろ悪化していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定症例20症例であったが、平成23年度中に25症例まで症例数が増えた。G-CSF群とプラセボ群では、G-CSF群は口内炎grade、疼痛ともに著しい改善をしたのに対して、プラセボ群は変化無しあるいは悪化であり。予想以上の薬効と思われた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の平成23年度の結果から、G-CSF含嗽はプラセボ群に比較して著しい効果がみられることが少数症例ながら統計学的に確認できた。現在のところG-CSF含嗽によると思われる有害事象はみられないが症例数増加とともに注意をしていく。今回プラセボはアズレン含嗽であるが、本邦で有用とされているプロプラジンク含嗽やレバピミド含嗽なども今後対照群に加え、臨床に則し応用する必要性が感じられた。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は口腔癌に対して全身化学療法を施行予定20例を予定している(累計45例)。平成23年度に得られた結果を基にして、日本経腸静脈栄養学会にて中間発表を行う。研究費はG-CSFおよびプラセボ薬に概ね使用される。また研究によって得られるデータを集計する事務員を週一回雇用する。日本経腸静脈栄養学会に発表へ向かう旅行費に使用する。
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