研究課題/領域番号 |
23592939
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
村上 幸生 明海大学, 歯学部, 准教授 (00286014)
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キーワード | 抗酸化性フェノール関連化合物 / 転写因子 |
研究概要 |
酸化還元感受性転写因子はラジカルの酸化的攻撃により活性化され炎症やアポトーシス、発癌に関与する。著者らは以前、自動酸化し難い構造の抗酸化性フェノール関連化合物がいわゆるフェノール作用を介して炎症性サイトカイン発現を抑制することを発見した。この結果はラジカル化し難いフェノール関連化合物が酸化還元感受性の多くの転写因子の転写を調節できることを示唆した。今年度の研究では、低細胞傷害性で自動酸化し難い抗酸化性フェノール関連化合物をさらに探査し、それらが生理活性物質発現を抑制できるか調査することであった。p-Cresol、DDBP、thymol、DTBP、TTBBD、α-tocopherol、β-tocopherol, δ-tocopherol、γ-tocopherolを使用し、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞における細胞傷害性を CCK-8 kitを使用して検討したところ、これらの化合物は100μM以下の濃度で細胞傷害性を示さなかった。一方、LPSや細菌線毛などの細菌構成成分刺激COX-2の発現はいくつかのフェノール関連化合物によって顕著に抑制された。同様に、これらの化合物のいくつかは酸化還元感受性転写因子のうちNF-κBの調節作用を有することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の予定は植物性のフェノール関連化合物や工業製品で使用しているフェノール関連化合物の細胞傷害性試験および生理活性物質の発現調節作用を検討することであった。現時点では研究実績に示すように概ね当初予定を達成していると考える。しかし、生理活性物質の発現調節作用が十分とは言えず、今後の課題になると考える。昨今は国民の健康志向の高まりの中で、自然食品や天然産物の医薬品への応用が報じられている。国民医療のさらなる向上に向けて、新しい抗酸化性植物フェノール関連化合物の酸化還元感受性転写因子の調節作用を探査することは興味がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究達成度は概ね達成をしていると考える。一方、植物性や工業製品成分中のフェノール関連化合物だけでなく、今まで抗酸化性が謳われていたビタミンを構成するフェノール関連化合物にも新たなる活性の存在が示唆された。自動酸化しにくい構造のフェノール関連化合物はいわゆるフェノール作用によって抗酸化性と抗炎症性を発揮できることから、多くの天然フェノール関連化合物の医薬品への応用を検討することに興味がある。よって抗腫瘍性・抗炎症性をもつとされる植物性の抗酸化性フェノール化合物の細胞傷害性を引き続き検討し、さらに拡充した生理活性物質の発現の調節作用を検討する。そして表題にあるような酸化還元感受性転写因子の調節作用の検討を始める。効果的なNSAIDs様作用をもつ抗酸化性フェノール関連化合物を発見し慢性炎症や難治性疾患における分子レベルの治療薬の開発に繋げたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究は平成23年度より開始しており、平成25年度の研究達成度は概ね達成をしていると考える。数年来実験資源のコストダウンを図り、実験に使用する器具や試薬を割引価格で購入できたことが多かったため次年度使用額が発生した。このことは、研究プロジェクトを効率的に推し進めた結果生じたものであり、次年度にむけて更なる実験アイテムの拡充と多くの実験データの選別に使用したいと考える。 組織細胞における誘導型の炎症性サイトカインおよび生理活性物質産生に及ぼす多種の抗酸化性フェノール化合物による調節作用をReal-time PCR法でそれぞれ検討するためプライマーを購入する。また、その情報伝達機構の解明のためのWestern blotに使用する情報伝達関連タンパク質抗体を購入する。酸化還元感受性転写因子活性化に対する抗酸化性フェノール化合物による調節作用を解明するため数種のELISA様転写因子活性化測定kitを購入する。これらから得られる結果より、効果的なNSAIDs様作用をもつ抗酸化性フェノール関連化合物を発見し慢性炎症や難治性疾患の分子生物レベルにおける遺伝子転写調節に応用することが可能になると考える。
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