研究課題/領域番号 |
23592942
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山崎 安晴 北里大学, 医学部, 講師 (00210401)
|
研究分担者 |
池本 繁弘 北里大学, 医学部, 助教 (90296492)
馬場 香子 北里大学, 医学部, 助教 (90327411)
青柳 和也 北里大学, 医学部, 助教 (10337959)
石黒 匡史 北里大学, 付置研究所, 研究員 (40265640)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 未分化間葉系細胞 / 凍結保存 / 再生医工学 |
研究概要 |
【平成23年度目的】1.口唇裂・口蓋裂形成手術に得られた下鼻甲介骨組織から間葉系幹細胞の分離・増殖・保存の確認する。2.口唇裂・口蓋裂形成手術に得られた間葉系幹細胞の骨形成能の確認(in vitro, in vivo)する。【結果・考察】1,下鼻甲介骨組織から間葉系幹細胞の分離・増殖・保存が可能であった。2.骨形成能について:in vitroでは、下鼻甲介より採取した骨組織由来間葉系細胞は、FBS添加培地ヒト血清添加培地、無血清培地のいずれの培養でもアリザリン・レッドでの染色が確認された。また骨芽細胞マーカーの評価ではALP、OCの発現を認めたことから骨芽細胞への分化能を有することが確認された。したがって口唇裂・口蓋裂形成手術時に得られる下鼻甲介は、腸骨に代わる新たな間葉系幹細胞の供給源となり得ることが確認された。また、その際に無血清培地による培養が可能であることが示された。3種類[無血清培地(STK-1),10% ヒト血清添加α‐MEM培地(bFGF1ng/ml),10% FBS添加α‐MEM培地(bFGF1 ng/ml含有)]の培地によるアリザリン・レッドの染色性の差と、骨芽細胞マーカー発現に相違を認めたが、これは各培地によって得られる骨芽細胞の細胞数および分化度の相違が反映された結果と推測された。in vivo のHE染色では、HA気孔内に明らかな骨組織の形成は確認されなかった。原因として、下鼻甲介より採取された初期採取標本に含有される細胞数が少ないことにより、骨芽細胞に分化しうる細胞の絶対数が不足していることによると考えられた。【今後の方針】(1)口唇裂・口蓋裂患者よりの検体数が少ないため,上顎骨の生物学的な基本情報を獲得のため新たに成人上顎骨を検体に加える。(2)口唇裂・口蓋裂形成手術で得られた下鼻甲介骨組織から間葉系幹細胞の確実なin vivoでの骨形成環境を獲得する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
あくまで口唇裂・口蓋裂の手術に際しての余剰骨組織を研究献体としているが,平成23年度は3検体のみと少なかったため.
|
今後の研究の推進方策 |
新たに(1)口唇裂・口蓋裂患者よりの検体数が少ないため,上顎骨の生物学的な基本情報を獲得のため新たに成人上顎骨を検体に加える。(2)口唇裂・口蓋裂形成手術に得られた下鼻甲介骨組織から間葉系幹細胞の確実なin vivoでの骨形成環境を獲得する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.下鼻甲介ならび口蓋骨由来間葉系幹細胞の骨形成能の確認(in vitro, in vivo):in vitro:凍結保存間葉系幹細胞を骨分化誘導培養し細胞生化学的活性(RT-PCRによるRNKL,ALP,OC等)で確認する.in vivo:凍結保存間葉系幹細胞を無血清培地で増殖,次に骨分化誘導培養.担体はハイドロキシアパタイトを使用.動物(ヌ-ドマウス)に移植し骨組織の組織学・免疫組織学的に検索する.2.胎児診断により口唇裂・口蓋裂を診断された新生児の臍帯血からの分離・保存と初回手術時の提供組織からの間葉系幹細胞の保存3.成人上顎骨の生物学的な基本情報を獲得:1.と同様のin vitro, in vivoの研究を行い、1.の検体数不足を補う.4.下鼻甲介なら口蓋骨由来間葉系幹細胞の安全性を確認:(1)染色体数分析:培養初期、凍結後初期培養期、凍結後数継代培養期のギムザ染色による染色体数を調査、染色体数頻度の構成調査する.(2)核板バンドパターン:培養初期、数継代培養期、凍結後初期培養期、凍結後数継代培養期のキナクリン・ヘキスト2重染色による染色体分染を行い、核板バンドパターンを調査し、欠失、転座、重複などの異常出現の頻度を検索する.(3)腫瘍化の可能性検討;細胞増殖曲線を作成し、分裂能の有限性を確認する.(4)感染の可能性検討;分子生物学的解析により培養.操作過程での感染の有無を確認する.
|