• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

自己抗原特異的IgMモノクローナル抗体による天疱瘡発症機序解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592943
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

角田 和之  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265915)

研究分担者 中川 種昭  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00227745)
キーワード自己免疫疾患 / 自己免疫性水疱症 / 天疱瘡 / デスモグレイン / モノクローナル抗体
研究概要

天疱瘡は粘膜と皮膚に生じる難治性の自己免疫性水疱形成疾患で、全例で口腔粘膜に水疱を形成し非常に難治性である。これまでに尋常性天疱瘡では病原性を有するIgGクラスの抗デスモグレイン3自己抗体がその発症に関与していることが明らかにされている。そこで本研究では全年度を通して、最近われわれが天疱瘡モデルマウスより作製したIgMクラス天疱瘡モノクローナル抗体を用いて天疱瘡の病態生理を解明し、さらには天疱瘡の水疱形成におけるIgMクラス自己抗体の病原性や,病勢調整能の有無などについて解析する事を目的としている。
昨年度までには、天疱瘡病態初期における抗デスモグレイン自己抗体の病態形成関与について解析するために、ヒト尋常性天疱瘡初期の患者血清を選定し、その患者血清を用いてヒト組み換えデスモグレイン3蛋白を抗原としたELISA法にて天疱瘡患者血清中の抗デスモグレイン3 IgM抗体の解析を行った。さらに本年度は天疱瘡モデルマウスにおける抗デスモグレイン3 IgM抗体産生について検討した。加えてin vitroアッセイ系を用いてヒト尋常性天疱瘡患者血清中の抗Dsg3 IgG抗体の病原性解析を行ったところ、尋常性天疱瘡患者血清中の抗デスモグレインIgG自己抗体の病原性を定量化することが可能である事が確認された。本研究期間中に得られた結果は、次年度に行う事が予定されている、抗デスモグレイン3 IgM抗体のtherapeuticあるいはpreventive effect解析の基礎データとなる事が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までにはヒト天疱瘡患者における、抗Dsg3 IgM抗体産生について解析を行った。昨年度に引き続き本年度は、我々が作製した天疱瘡モデルマウスにおける抗Dsg3 IgM抗体産生について、組み換えDsg蛋白を抗原としたELISA法にて検討を行った結果、抗体産生量は非常に低いものの天疱瘡モデルマウスの発症初期における抗Dsg3 IgM抗体産生が確認された。さらに病原性を有する抗Dsg3抗体であるAK23 IgGと競合するエピトープを認識する抗体を優位に有するPV患者血清を用いて、ヒト培養角化細胞を用いたin vitro dissociation assay (図3, Ishii K et al: J invest Dermatol, 124: 939-946, 2005)を行った。その結果複数のPV患者血清がin vitro dissociation assayにおいて病原性を有し、定量化が可能であることが確認された。

今後の研究の推進方策

本年度は昨年度に得られたデータをもとに、選定された天疱瘡患者血清を用いて、in vivoおよびin vitroにおける抗Dsg3 IgM抗体の天疱瘡病態形成における予防的効果(preventive effect)および治療効果(therapeuticeffect)を検討する。in vivoのアッセイ系においては新生仔マウスを用いたpassive transferの系、あるいは免疫不全生体マウスを用いた腹水形成法にて評価を行う。またin vitroの系においてはin vitro dissociation assayの系を用いて検討を加える。

次年度の研究費の使用計画

未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
平成24年度の本研究費は主に実験で使用するマウス、実験試薬および旅費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 骨吸収を伴った小児口唇の線状強皮症の1例2012

    • 著者名/発表者名
      足立剛也, 宮本樹里亜, 大内健嗣, 大山学, 海老原全, 角田和之, 天谷雅行
    • 雑誌名

      臨床皮膚科

      巻: 66 ページ: 311-315

    • 査読あり
  • [学会発表] 抜歯を行ったクロイツフェルト・ヤコブ病の1例2013

    • 著者名/発表者名
      玉手秀典、榎田洋平、加藤伸、佐藤英和、藤田康平、池浦一裕、角田和之、中川種昭
    • 学会等名
      第22回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会
    • 発表場所
      日本歯科大学生命歯学部(東京)
    • 年月日
      20130330-20130331
  • [学会発表] 当科における粘膜類天疱瘡の臨床的検討2012

    • 著者名/発表者名
      黄地健仁, 佐藤英和, 藤田康平, 加藤伸, 畑澤知佳, 榎田洋平, 山上淳, 天谷雅行, 角田和之, 中川種昭
    • 学会等名
      第22回日本口腔内科学会総会
    • 発表場所
      学術総合センター(東京)
    • 年月日
      20120921-20120922
  • [学会発表] 多発性骨髄腫に合併した口唇アミロイドーシスの1例2012

    • 著者名/発表者名
      山田有佳, 佐藤英和, 角田博之, 小高利絵, 永井哲夫, 角田和之, 中川種昭
    • 学会等名
      第22回日本口腔内科学会総会
    • 発表場所
      学術総合センター(東京)
    • 年月日
      20120921-20120922
  • [学会発表] 精神心理面への配慮が必要であった外国人口臭症の一例2012

    • 著者名/発表者名
      中山亮平、佐藤英和、軽部健史、池浦一裕、藤田康平、角田和之、永井哲夫、角田博之、中川種昭
    • 学会等名
      日本口臭学会第3回学術大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学医学部(東京)
    • 年月日
      20120707-20210708
  • [学会発表] 過去5年間の当科における自己臭症の臨床的検討2012

    • 著者名/発表者名
      岩崎このみ, 佐藤英和, 池浦一裕, 藤田康平, 榎田洋平, 山田有佳, 加藤伸, 小高利絵, 畑澤知佳, 角田和之, 藤野雅美, 永井哲夫, 中川種昭
    • 学会等名
      日本口臭学会第3回学術大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学医学部(東京)
    • 年月日
      20120707-20120708
  • [学会発表] 舌の痛みに八味地黄丸が有効であった一例2012

    • 著者名/発表者名
      小澤夏生, 永井哲夫, 角田博之, 角田和之, 佐藤英和, 藤田康平
    • 学会等名
      第63回日本東洋医学会学術総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      20120629-20120701
  • [学会発表] 半夏瀉心湯が奏功した再発性アフタの2例2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤英和, 小澤夏生, 角田博之, 角田和之, 藤田康平, 中川種昭, 永井哲夫
    • 学会等名
      第63回日本東洋医学会学術総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      20120629-20120701
  • [学会発表] Le Fort I型骨切り術における超音波手術器具の使用経験 下行口蓋動脈周囲への応用2012

    • 著者名/発表者名
      加藤伸, 小高利絵, 角田和之, 臼田聡, 遠藤友樹, 中山亮平, 中川種昭, 柴秀行
    • 学会等名
      第22回日本顎変形症学会総会・学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20120618-20210619

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi