研究概要 |
歯嚢由来細胞(hDFC)は骨芽細胞誘導培地で培養すると石灰化することから,硬組織再生医療応用が期待されている.そこで,hDFCの骨芽細胞分化または石灰化に関与する遺伝子の検索を目的として,トランスクリプトーム解析を行った.【方法】本学倫理委員会の指針に従い,埋伏抜歯の際採取した歯嚢を酵素処理し,hDFCを分離した.hDFCを growth medium (GM) またはosteogenic induction medium (OIM) で培養し,total RNAを抽出した.Coding RNA発現解析はAgilent SurePrint Human GE 8x60K v2を用いて,non-codign RNA発現解析はAgilent miRNA microarray 8x15K を用いて測定した. hDFCへのmiRNA遺伝子導入はQiagen HiPerFectを用いた.【結果および考察】GMまたはOIMで培養したhDFC間でmiRNAの発現解析を行った.GMで培養したhDFCに比べ、OIMで培養したhDFCで発現減少したmiRNA群にmiR-204,miR-29a, miR-29bが認められた.miR-204をhDFCに遺伝子導入したところ,alkaline phosphatase (ALP) 活性の低下が認められ,マイクロアレイ解析でもALP発現の減少が認められた.また,miR-29bをhDFCに遺伝子導入したところ,type I collagen産生減少し,石灰化の遅延が認められた.マイクロアレイ解析の結果でも,type I collagen発現減少が確認された.以上の結果から, hDFCの石灰化過程では,ALPやtype I collagenなど,石灰化に関与する因子を標的とするmicroRNA発現が減少することが示唆された.
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