研究課題/領域番号 |
23592951
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
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研究分担者 |
中野 敬介 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10325095)
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00366329)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 腫瘍 / 増殖性疾患 / 組織修復 / 再生 |
研究概要 |
昨年に引き続き、GFPトランスジェニックマウス由来骨髄移植マウスの作製、および組織損傷モデル動物の作製を行い、歯牙および歯周組織を構成する細胞ならびに骨髄幹細胞の生体内における動態と分化に関する研究を行った。傷害性刺激を加えた歯周組織における細胞動態においては、メカニカルストレス付与後の歯根膜組織において歯根膜線維芽細胞および骨芽細胞にRunx2、Msx2、ALPの局在と陽性反応増強を確認しているが、これらに加え、HSPや神経内分泌関連因子の発現増強も生じていることを確認した。さらに、これらの因子が歯周組織の恒常性維持や組織修復、細胞分化に密接に関与していることを示した。これらのモデル動物の解析結果から、骨髄幹細胞が抹消組織へ移行して骨芽細胞、破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、および歯髄細胞に分化することを確認し、前駆細胞となる骨髄幹細胞は、歯周組織では主に細胞増殖の盛んな部位に集中的に生着することを明らかにした。またこられ一連の細胞動態に神経系の細胞が関連していることを示した。増殖を伴う組織変化においては骨髄幹細胞の局所への遊走と分化が重要な役割を持つ事を示しており、いわゆる増殖性病変の生物学的性格の確立にも骨髄幹細胞が密接に関与している可能性を示した。歯原性腫瘍においても引き続き、先に挙げた細胞分化関連因子や増殖関連因子の動態を検討しその細胞分化と増殖の機構を検討しきた。当該年度の研究成果から、骨髄幹細胞の末梢局所への分布と分化をコントロールできる可能性を具体例を挙げて示すことができた。適切な強度のメカニカルストレスもしくは傷害性刺激を組織に加える等の方法により、効率的な幹細胞の局所への誘導、組織修復の促進や増殖性疾患の増殖抑制など有効な治療法の開発が可能となる学術的根拠を得た。
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