研究課題
申請者らは、口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤過程における免疫学的な機序の解明を目的とした研究を行い、顎骨浸潤部位における破骨細胞による骨吸収のメカニズムに着目した。そして、破骨細胞分化の制御においてTh1、Th2、Th17、制御性T 細胞(以下、Treg)などCD4陽性T 細胞の関与が示唆されており、Th1、Th17 は破骨細胞分化を促進し、逆にTh2、Treg は破骨細胞の分化を抑制することが示唆されていることから、マウス口腔癌モデルを用いて腫瘍組織内での破骨細胞分化に影響を与えているTh反応系の解析を行った。その結果、1.腫瘍組織では、CD4陽性T 細胞中にFoxp3 陽性のTreg が、実に50%以上の割合で腫瘍内に浸潤しており、口腔癌組織ではTreg がTh反応系の中心的な役割をしている可能性が示唆された。2.腫瘍から分離したTreg は、骨髄前駆細胞の破骨細胞への分化を抑制した。3.腫瘍内に浸潤しているTreg は細胞表面上にCTLA-4 を強発現していた。4.腫瘍内Treg を介した破骨細胞分化抑制には、CTLA-4 が重要な役割を果たしていることが、CTLA-4 の中和抗体を用いた実験で確認された。また、最近の研究では、腫瘍組織内で著しく数を増す免疫抑制性集団であるmyeloid derived suppressor cell(MDSC)が破骨細胞に直接分化する能力を有しているとの報告があり、またTregがMDSCのアポトーシスを誘導することも報告されていることから、口腔癌組織内でのTregを介したMDSCの制御機構について解析を行った。その結果、1.腫瘍細胞から分離したTreg による、骨髄中から分離したCD11b 陽性細胞のアポトーシスの誘導。2.上記のアポトーシスの誘導には、Treg上のFasL とMDSC上のFasが重要であることが確認された。
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Oral Oncol
巻: 49 ページ: 787-795
Oral Dis
巻: 19 ページ: 200-205