研究概要 |
本研究の目的は、口腔粘膜におけるヨード生体染色の機序を検討すると伴に、それと深く関連するグリコーゲン代謝の異常(糖輸送 、グリコーゲンの合成および分解)を明らかにすることである。平成24年度には以下の結果が得られている。 1,ヨード生体染色機序の解明:口腔粘膜病変切除時にヨード染色を施行し、不染域および染色域を含む組織を採取。凍結切片を作製しヨード呈色反応の場を検討した。その結果、ヨード溶液は染色域の上皮1/2まで浸透していた。同部ではグリコーゲンの存在もPAS染色で確認され、同部がヨード生体染色反応の場と考えられた。加えて、電顕的な観察を行い、上皮細胞内には3つのパターン(full-, surround- and scatter-types)でグリコーゲンが存在していることを明らかにし、そのうち2つのタイプ(full- and surround-type)でヨードとの反応が起こっていると考えられた。 2,細胞内グリコーゲン代謝異常の解明:ヨード染色結果と糖の新生に関連する酵素(glycogen synthase, GS and phospho-glycogen synthase, PGS) と分解に関連する酵素(glycogen phosphorylase isoenzyme BB, GPBB and Glucagon-like peptide-1, GLP-1)との関連について、免疫組織学的に検討した。その結果、不染域と染色域の間 でGPBBの発現に有意差があり、ヨード不染の細胞では糖の分解が更新している可能性が示されている。現在、サンプルを増やした追加実験を施行中である。
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