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2012 年度 実施状況報告書

ホルモンレセプターをターゲットにした悪性唾液腺腫瘍の新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592965
研究機関愛媛大学

研究代表者

住田 知樹  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50314951)

キーワード唾液腺腫瘍
研究概要

ヒト悪性唾液腺腫瘍は、5年生存率は高いものの10年、20年といった長期の生存率は惨憺たるものである。しかし、発症のピークが中年期以降ということを考えると、さらに腫瘍の進展を遅らせることが出来れば腫瘍を根治に至らしめなくても制御することが可能であると考えられる。
予備実験の結果から、唾液腺腫瘍ではエストロゲンレセプターでは発現の減弱が予想されており、プロゲステロンレセプターとは逆の作用を有すると考えられていた。これは確認され現在論文執筆中である。ホルモンそのものの投与が有効であると考えられ、今後in vivoでの確認、アロマターゼ阻害剤などの投与が有効であるのかの検討が必要になる。従って、結果により、④培養細胞による増殖の検討(細胞数計測、チミジン取り込み、フローサイトメトリーによるS期細胞率の測定など)や、⑤培養細胞による浸潤能の判定(ボイデンチャンバー法による浸潤能の比較、ゼラチンザイモグラムによる検討など)には、ホルモンそのものやその阻害剤を使用する。
アンドロゲンレセプターの働きも進めているが、同時に進めていた唾液腺癌で高発現しているID1タンパクの発現抑制により、悪性形質が抑制されることが確認され、論文発表を行った(Sumida et al. BMC Cancer 2013, 13:141)。
最終年度はエストロゲンレセプターの結果を論文発表すると共に、アンドロゲンレセプターの働きを引き続き確認していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、発育の遅い唾液腺腫瘍の制御を目的とした本研究は順調に進んでいる。各種性ホルモンレセプターを標的とした場合、それが抑制的に働くのか、逆に腫瘍の増殖を促進するのか、各種ホルモンにて順調に確認できている。
アンドロゲンレセプターの働きの確認を残すが、最終年度で確認可能と思われる。特にこのレセプターは予後の悪いinvasive ductal carcinomaにて高発現しており、これを標的にできれば外科手術でほぼ対応不能な高悪性腫瘍を制御できる可能性がある。
また、今回、以前より唾液腺腫瘍で高発現が知られていたID1タンパク質を抑制することにより悪性形質の大幅な減弱が得られた。これはBMC cancerに発表することができ、一定の成果が得られた。
このような結果からおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

アンドロゲンレセプター導入invasive ductal carcinoma cell lineを用い、ここにアンドロゲンやそのアナログを作用させることにより増殖、浸潤などの悪性形質にどの様な影響を与えるかを調べる。これが最も大切な実験となる。
残された時間は少ないが、できればin vivoでの転移への影響も調べたいと考えている。
論文執筆は、エストロゲンレセプターを用いたストラテジーをまとめ、投稿の準備を進めている。これに関しては乳癌とほぼ同じストラテジーであるが、新しい考え方であるため癌関連の英文誌に投稿可能と考えている。

次年度の研究費の使用計画

アンドロゲンレセプター導入細胞の研究継続と、論文執筆が最優先される。
アンドロゲンレセプター導入細胞に関しては悪性形質の変化確認が優先される。
論文執筆に関してはネイティブチェックを受ける必要もあるためいくらかの研究費が必要であるが両者ともに遂行可能と考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Targeting Id1 reduces proliferation and invasionin aggressive human salivary gland cancer cells2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoki Sumida, Ryuichi Murase, Akiko Onishi-Ishikawa, Sean D McAllister, Hiroyuki Hamakawa, Pierre-Yves Desprez
    • 雑誌名

      BMC Cancer

      巻: 13 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1186/1471-2407-13-141

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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