研究課題/領域番号 |
23592973
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
山下 善弘 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (30254634)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 骨再生 / 生体内 / 血管柄付再生骨 / 人工骨 |
研究概要 |
口腔および顎顔面領域において腫瘍性疾患、外傷などの様々な手術後には顎顔面領域の組織欠損を生じる.この組織欠損に対し,1980年代よりmicrosurgeryの進歩により各種の遊離組織移植が頭頸部領域の組織欠損に対して導入されはじめ,現在の顎顔面領域の組織欠損における再建方法の主流になっている.軟組織欠損においては前腕皮弁,腹直筋皮弁,広背筋皮弁,前外側大腿皮弁などが主に用いられ,また,顎骨再建においては血管柄付腸骨,血管柄付肩甲骨,腓骨などが用いられ,その有用性が報告されている.しかしながら,その採取部位での犠牲は大きく,また多くの合併症も見受けられる.そこで,生体内の犠牲の少ない部位での骨代用物を用いた顎骨の生成について動物を用いて実験的研究を行うことを目的とする.現在のところ既存の血管を利用し,様々な人工細胞外マトリックスと細胞を組み合わせて人工的に栄養血管を有する組織を再生する方法が最も現実的な方法とされ,私はこれまでに顎骨再建などに用いられる血管柄を有した人工的に再生された骨組織に関する検討を行ってきた.それにより骨が形成される足場(コラーゲンや合成高分子材料など),骨芽細胞の増殖と分化を誘導する生理活性物質あるいはその遺伝子を欠損の大きさによって単独または併用して局所に組み込み,生体本来の組織修復能を活用して,骨再生を図ることが犬を用いた実験系にて可能であり,生体吸収性のセラミックβ-TCPを細胞の足場としてビーグル犬の広背筋部に移植し,骨形成を観察する必要があり。 今回、実際のビーグル犬への広背動静脈にAV shunt loop形成し,生体吸収性のセラミックβ-TCPブロックを広背筋筋膜部に埋入し,これを足場とする血管柄付骨組織を作成(平成23,24度)のための環境準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験では本年度と次年度にて広背動静脈のAV shunt loopを用いてβ-TCPブロックを足場とする血管柄付き再生骨の作成(平成23,24度)を行うこととしており、本年度はビーグル犬実験を開始するための実験環境の整備および予備実験を行った。 特に重要であったβ-TCPを埋入させるchamberの作成を行った。Chmber作成ではビーグル犬の広背動静脈のAV shunt loopの血管径の大きさにより左右されるため5mmづつ大きさを変えて数種類作成し、β-TCPブロックおよび顆粒の大きさを決定することができた。 研究代表者は年度途中にて研究機関を変更(申請、受理済み)しておりそのための移動に際しての実験環境の整備が必要であったが変更先での実験環境は今後本研究を行うにあたり十部な施設整備があり、実験の遅れは認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は次の4つの研究により構成される.1.ビーグル犬の広背動静脈にAV shunt loop形成し,生体吸収性のセラミックβ-TCPブ ロックを広背筋筋膜部に埋入し,これを足場とする血管柄付骨組織を作成(平23,24 度)2.再生骨の解析(平成25年度)3.血管柄付き再生骨を用いて同種下顎骨への移植(平成26年度)4.同種下顎骨への移植での機能評価および下顎部摘出後の再生骨の解析(平成27年度)この中でも次年度に行うビーグル犬の広背動静脈にAV shunt loop形成し,生体吸収性のセラミックβ-TCPブロックを広背筋筋膜部に埋入実験は重要実験でそれに当たり動物実験かんきょうの整備は重要と考え等実験を行うための動物手術手技を十分マスターすることが重要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は広背動静脈のAV shunt loopを用いてβ-TCPブロックを足場とする血管柄付き再生骨の作成(平成23,24度)の継続実験を行う。実験材料;成犬ビーグル犬,オス16頭を実験に供する.(動物の飼育および手術は福岡歯科大学動物実験規定に基づいて行う).β-TCPを埋入させるchamber(研究代表者平成23年度作成)。実験方法;実験動物を血管柄付き再生骨を作成し,摘出し,再生骨を観察する群:8頭とその再生骨を用いて顎骨再生を行う群8頭に分ける.また,再生骨を観察する群:8頭のうちPRP投与群:4頭と非投与群:4頭にする.さらに,再生骨を用いて顎骨再生を行う群8頭においてもPRP投与群と非投与群に同様にわける.麻酔:ミダゾラム;0.3mg/kg,硫酸アトロピン;0.04mg/kg,塩酸ケタミン20mg/kgを筋肉内投与し,十分な鎮静が得られた後,経鼻マスクから100%酸素,2%セボフルレンにて全身麻酔を行う.手術手技:ビーグル犬両側の広背筋下にて肩甲下動静脈を約10cm剖出し,動静脈先端部にてshuntの形成を行う.6gのβ-TCPを埋入させたchamber内に血管孔を通してshuntの形成された胸背動静脈を埋入する.同ビーグル犬より採血した血液を用いて遠心分離を行いPlate rich plazma(PRP)を作成し,5頭においてβ-TCPを埋入させたchamberないに投与する.Chamberのwing部を利用し,広背筋下に縫合固定し,閉創.
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