研究課題/領域番号 |
23592984
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
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研究分担者 |
松澤 等 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70303170)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 三叉神経 / MRI / 拡散強調画像 / 高分解能画像 / 神経腫 / 神経損傷 / 末梢神経 |
研究概要 |
今年度は、本研究ですでに確立した研究用MRIによる神経画像法を用いて患者群でのデータ取得が進められた。損傷神経に対して、拡散強調画像を基に高コントラスト神経画像(3DAC)と高分解能MR Neurography (3DVR-MRN)で形態の検討、さらにT2緩和時間測定と平均拡散能の計測を行った。患者は、片側の下歯槽神経か舌神経の損傷後に感覚障害を持つ群である。 その結果、3DVR-MRNでは増生した結合組織と神経線維の識別が困難な病変部位であっても3DACではほとんどの症例で両者を弁別することが可能であった。さらに興味深いことに、瘢痕とみられる結合組織内に走行する神経構造が変形がなく周囲組織と分離されて描出される群は、感覚障害が軽度であった。これに対して、神経自体が、不整形や蛇行といった変形を伴った群は重度な症状を呈することが明らかになった。 これらは、髄鞘化と神経上膜により周囲組織と隔てられた神経再生と後者は神経種の形成が推測される。本研究で3DACの末梢神経へ適応することができた。ヒトの末梢神経病理組織を反映した非侵襲的画像が水分子の拡散性を可視化することで可能になることが明らかになった。 さらに、病変神経を人工神経管で再生した術前術後比較や、神経損傷動物のMRIによる神経炎症の検討も行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三叉神経領域に特有のアーチファクトを低減するMRI拡散強調画像法と高コントラスト画像法(3DAC)の手法の確立と三叉神経領域の神経損傷後の感覚障害を持つ患者群でのデータ取得は順調に進行した。 しかし、ある時期からデータに一部異常値がみられるようになり、その原因究明に時間を要した。原因としてMRI装置のRFコイルが部分的に性能低下していることが明らかになり、これに対応した研究方法の修正に時間を要した。このため成果の論文公表がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
損傷末梢神経の再生過程の異常は感覚障害に強く関連している。これらの検索にはMRI拡散強調画像を基にした高コントラスト画像法(3DAC)が有効であることを本研究では明らかにした。再生異常の過程には神経炎症の関与が強く示唆される。このため神経炎症の鋭敏な検索方法の開発と、炎症のコントロールが疼痛を低減させるかを検討する必要がある。今後はまず動物実験で、最終的にはヒトでの臨床応用を目指したtranslational researchを行ってゆく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題でのMRIデータ取得は当初順調に進行していたが、最終年中盤よりデータの数値が一部異常値を示すようになってきた。原因はMRI装置のコイルが部分的に性能低下していることが明らかになった。この原因検索や問題回避のための研究プロトコール修正に時間を要して、予定していた論文発表が遅れた。このため論文発表費用に未使用額が生じた。 現在投稿準備中の論文にかかる英文校正などの費用や出版費用などの成果発表に使用する予定。
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