研究課題/領域番号 |
23592986
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上木 耕一郎 金沢大学, 大学病院, 講師 (40313663)
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研究分担者 |
高塚 茂行 金沢大学, 医学系, 准教授 (00251926)
丸川 浩平 金沢大学, 大学病院, 助教 (50444203)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 顎変形症 / 顎関節 / 応力解析 |
研究概要 |
剛体ばね理論による下顎頭接触圧分布のモデル化を行った。側面頭部X線規格写真を用いたプログラムは法政大学工学部、竹内則雄教授と共同開発したものを応用した。剛体ばね理論の1要素モデルを用いてモデル化した。本モデルでは術後も骨片間が強固に固定されているものとし下顎骨全体を1要素として考えており、平行変位(u,v)と回転(θ)の3自由度を下顎角部に設け、顎関節の相対的な応力の大きさ、方向、変位量、相対的な咬合力を算出した。同様に正面頭部X線規格写真を用いた、剛体ばね理論モデルプログラムによる顎関節応力分布解析を行った。各方向での2次元シミュレーションの整合性を検討すると同時に、正面側面頭部X線規格写真情報をまず幾何学的に統合した疑似3次元的な、顎関節応力分布解析を行い、再度その整合性を検討した。実際の患者のレントゲンをコンピューターに入力し計算し検討した結果、剛体ばね理論による力学解析により、これら円板形態、位置が顎関節に加わる負荷の方向に一致する可能性を見出した。また側面セファロを用いた顎顔面骨格形態の分類Class I, II, IIIと、顎関節に生じる負荷方向の傾向が力学的解析により示唆された。軸位方向から下顎頭長軸角についても、顎顔面形態との関連性があり、これらの情報は、咬合と骨格形態を変更し、正常に近づける外科矯正手術を行う上で非常に重要な情報であると考えられた。 非対称症例に対する正面頭部X線規格写真を用いた2次元剛体ばね理論による簡易的顎関節応力解析の結果から、顎関節の負荷の大きさ、角度の左右差が顎骨非対称に関連していることが示唆された。また、外科矯正手術により顎骨および咬合の改善を行うことで、左右顎関節の応力バランスが改善されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、側面および正面頭部X線規格写真を用いた、剛体ばね理論モデルプログラムによる顎関節応力分布解析を行った。各方向での2次元シミュレーションの整合性を検討すると同時に、正面側面頭部X線規格写真情報をまず幾何学的に統合した疑似3次元的な、顎関節応力分布解析を行い、再度その整合性を検討した。さらに、3DCTによる3次元プログラムの作製に着手したところである。
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今後の研究の推進方策 |
より少ない情報量で的確な解析結果が得られることが理想であり、3次元CTによる情報が臨床的に必要なのか、2方向の頭部X線規格写真による解析で十分か否かを臨床的に、骨格安定性、顎運動機能、咬合力などのデータをもとに総合的に判断し明らかにするつもりである。現在、CT情報による3次元的な顎関節応力解析プログラム作成を行っている。2次元情報での解析結果と3次元情報での解析結果を照らし合わせ検討する。これをもとに顎関節応力解析を加味した手術シミュレーションの開発および、臨床応用可能とする。また、動物実験による顎骨骨切りモデルにより顎関節の応力分布状態と形態変化を肉眼的、組織的にも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在も使用している消耗品(CD-R,咬合力感圧シート、動物実験用動物、飼育費、実験器具など)の他、3次元応力解析プログラム作成のため、CT画像から顎関節形態を近似させるための曲線、平面を決定するCADソフトウェアの購入を予定している。学会発表旅費、打ち合わせ旅費、論文代にも随時使用予定している。
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