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2011 年度 実施状況報告書

パーキンソン病モデルラットにおける疼痛感覚異常の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592988
研究機関大阪大学

研究代表者

丹羽 均  大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30218250)

研究分担者 杉村 光隆  大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90244954)
正脇 綾  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50609659)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードパーキンソン病 / 痛覚 / 三叉神経 / ホルマリンテスト / 疼痛関連行動
研究概要

1.方法:内側前脳束に6-OHDAを投与し、片側のドーパミン神経細胞を破壊したパーキンソン病(PD)モデルラットの上口唇にホルマリンを注射し、炎症性疼痛に対するPRB(顔面こすり運動)の観察を行った。また、ホルマリン注射10分後および2時間後に脳の灌流固定を行い、三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)内に認められるpERKおよびc-Fosに対する免疫陽性細胞数を計測した。以下の4群に分けて行った。(1)6-OHDA-ipsi:左側内側前脳束に6-OHDAを投与し、左側上口唇にホルマリンを注射、(2)saline-ipsi:左側内側前脳束に生食を投与し、左側上口唇にホルマリンを注射、(3)6-OHDA-contra:左側内側前脳束に6-OHDAを投与し、右側上口唇にホルマリンを注射、(4)saline-contra:左側内側前脳束に生食を投与し、右側上口唇にホルマリンを注射2.結果:6-OHDA-contra群のPRBの回数はsaline-contra群比較して、第1相(0-5分間)で有意に少なかった。特にホルマリン注射側と同側の前肢のみを使ったPRBの回数が第1相、第2相(10-90分)でsaline-contra群に対して有意に減少した。6-OHDA-ipsi群のPRBは第2相でsaline-ipsi群と比べ有意に増加した。特にホルマリン注射側と同側の前肢のみを使った顔面こすり行動の回数が増加した。Vc内のc-Fos陽性細胞数は、6-OHDA-ipsi群で増加が認められ、6-OHDA-contra群では有意な変化は認められなかった。またVc内のpERK陽性細胞数に、各群で差は認められなかった。3.考察:6-OHDA投与側の上口唇は痛覚過敏状態にあることが示された。一方、6-OHDA-contra群で認められた第1相におけるPRBの回数の減少は、動作の障害によるものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の計画に従い、以下の2点を明らかにした。(1)PDモデルラットにおける疼痛感覚異常の特徴として、片側モデルにおいては、疼痛関連行動とpERKおよびc-Fosの結果の乖離(6-OHDA-contra群においてPRBの減少が観察されたのにかかわらず、pERKおよびc-Fosの変化がなかったこと)がみられた。これは黒質線条体系の破壊により、それとは反対側に運動障害が起こるためと推測された。(2)PDモデルラットでは痛覚過敏状態が誘発されるが、そのメカニズムの仮説として、6-OHDA投与による黒質線条体の破壊により、下行性抑制系が影響されるためと仮定した。しかし、6-OHDAによる黒質線条体系の破壊は、ホルマリンテスト時の中脳中心灰白質(PAG)におけるc-Fos発現に影響しないことが判明した。 以上のように計画された研究を実施し、一定の結果を得ることができたので、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、痛覚過敏に対する抗パーキンソン病薬や選択的セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)の効果を明らかにする。実際のPD患者の多くは、抗パーキンソン病薬やSNRIを服用しており、それが痛覚過敏に対する反応を修飾している可能性がある。したがって、これらの投与が、PDによる痛覚過敏にどのように影響するかを検討する。方法:PD治療薬であるレボドパ(6mg/kg)またはSNRIのduloxetine(10-60mg/kg)をPDモデルラットに投与する。60分後にPDモデルラットの上口唇にホルマリンを0.05mL注射し、炎症性疼痛を誘発する。注射後90分間にわたり、顔面こすり運動などの疼痛関連行動(PRB)を観察し、その回数をカウントする。90分後、断頭し、三叉神経脊髄路核におけるc-Fos発現を検討する。正常ラットに対しても、レボドパまたはduloxetineを投与し、ホルマリンテストを行い、PDラットから得られた結果と比較する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度の研究費に6,041円の未使用額が生じたが、ほぼ計画どおりの予算執行であった。平成24年度における研究費の主な使用目的は、ラットおよび薬品類の物品費と結果発表と情報収集のための旅費が主なものである。備品の購入計画はない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] パーキンソン病モデルラットにおける顔面領域の疼痛刺激に対する行動学的反応とC-Fos発現2011

    • 著者名/発表者名
      前川博治、朴 會士、正脇 綾、遠山 緑、丹羽 均
    • 学会等名
      第39回日本歯科麻酔学会総会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2011年10月9日

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公開日: 2013-07-10  

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