研究課題/領域番号 |
23592988
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丹羽 均 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30218250)
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研究分担者 |
杉村 光隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90244954)
正脇 綾 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50609659)
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キーワード | パーキンソン病 / 痛覚 / 三叉神経 / 疼痛関連行動 / c-Fos |
研究概要 |
平成24年度は、両側パーキンソン病(PD) モデルラットを作製し、片側モデルで観察された疼痛関連行動(PRB)と三叉神経脊髄路核(Vc)におけるc-Fos発言の結果と比較することにより、三叉神経領域における疼痛感覚異常の特徴を明らかにしようと試みた。 片側PDモデルラットにおいては、破壊側の上口唇にホルマリン注射を行うと、PRBの増加とVcにおけるc-Fos発現の増加が認められたが、反対側にホルマリン注射を行った場合、PRB の抑制が観察されたのにかかわらず、c-Fos の変化がなかった。これらの結果は同側における痛覚過敏と反対側における運動機能障害の関与を示唆するものであり、その確認を行うことを目的とした。 しかし、両側PDモデルラットの作製には極めて困難を伴った。まず、6-OHDAを片側の内側前脳束に投与することにより片側PD モデルラットを作製し、メタンフェタミンによる誘起回転によりその効果を確かめた後、反対側の内側前脳束に6-OHDAを投与する方法で両側PDモデルラットの作製を試みた。しかしラットをPRBの観察するまでの期間、生存させることができなかった。さらに、6-OHDA を両側の内側前脳束に一回で投与することにより黒質細胞を破壊し両側PDモデルラット作製を試みたが、同様に、PRBの観察を行うまでの期間、生存させることができなかった。 そこで現在、両側PDモデルラットでのPRB及びc-Fos観察は中断し、当初計画していた片側PDモデルラットの痛覚過敏状態にPD治療薬であるレボドパの影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)両側PDモデルラットを作製し、以前検討した片側PDモデルラットでの結果と比較する予定であったが、両側PDモデルラットを確立することができなかった。2つの方法で両側PDモデルラットの作製に試みたが、PRBの観察を行うまでの期間、生存させることができなかった。両側の破壊が生体に対し重大な影響を及ぼすためと考えられる。 そこで両側PDモデルラットでのPRB及びc-Fos観察は中断し、現在は当初計画していた実験目的の一つである、片側PDモデルラットの痛覚過敏状態に対する、PD治療薬であるレボドパの影響を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
片側PDモデルラットを作製し、PD治療薬であるレボドパを投与後にPRBを観察し、片側PDモデルラットの痛覚過敏状態にレボドパがどのように作用するか検討する。また、選択的セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤や、ドパミンD1 またはD2 受容体作動薬についても同様にその効果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費で88,296円の未使用額が生じたが、ほほ計画どおりの予算執行であった。今年度の研究計画にも変更なく、前年度の研究費も含め、ラット、薬品類、結果発表と情報収集のための旅費が主な支出項目である。
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