研究概要 |
6~8週齢の雄Slc : ddYクリーンマウスに中枢神経興奮薬であるペンチレンテトラーゾール60mg/kg body weightを腹腔内投与すると痙攣が出現し,1時間後の大脳中央部において酸化傷害の指標であるMDA産生量が増加し、3時間後の海馬において酸化ストレスの指標であるHO-1遺伝子発現が増加した。次にペンチレンテトラゾール投与15分前に麻酔薬であるミダゾラム70mg/kg body weightおよびフェノバルビタール25mg/kg body weightを投与すると、痙攣、MDAおよびHO-1の増加がすべて抑制された。さらに致死量のペンチレンテトラゾール100mg/kg body weightを使用した場合では、フェノバルビタールでは痙攣は抑制できなかったにも関わらず、HO-1の発現およびMDA産生は抑制された。 中枢神経興奮薬をマウスに投与したところ,脳に酸化反応が認められた。酸化反応の指標としては,HO-1遺伝子発現が鋭敏であり,麻酔薬の影響を調べるのに有用な脳酸化モデルであることが示された。さらに,この方法を用いて静脈麻酔薬であるミダゾラムとフェノバルビタールの脳酸化反応への影響を調べた結果,ミダゾラムとフェノバルビタールは脳において,抗酸化用を有していることが示唆された。また、麻酔薬の抗酸化作用は痙攣の抑制に関与しない可能性が示唆された。
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