研究課題/領域番号 |
23592990
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高木 慎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40116471)
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研究分担者 |
長塚 仁 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237535)
水川 展吉 岡山大学, 大学病院, 講師 (00263608)
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
岸本 悦央 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20091316)
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キーワード | インプラント / 象牙質 / セメント質 / 幹細胞 / 再生医療 |
研究概要 |
本研究は、チタンインプラント周囲に象牙質を誘導し、象牙質周囲に歯根膜組織等歯周組織を形成する新規生体機能付加インプラントシステムの開発を行うことを目的としている。 当該年度研究では昨年度GFPトランスジェニックラット歯髄組織から樹立した象牙芽幹細胞株の研究データを基として、引き続き象牙芽幹細胞株が新規生体機能付加インプラントシステムとしての適正な性格を有するか否かについて細胞生物学的な解析を行った。細胞環境が象牙芽幹細胞株の分化過程に及ぼす影響について解析した結果、培養条件下では経時的にDSP等歯牙関連遺伝子の発現増加が認められた。象牙芽細胞の生体内と培養条件下における細胞分化を比較すると、生体内における分化誘導系において上記遺伝子の発現がより増強される傾向が認められた。以上から本細胞は生体内でも象牙芽細胞の性格を維持しており生体機能付加インプラントシステム開発に有用な細胞であると考えられた。 また象牙質周囲に人工的に歯根膜組織等歯周組織を形成するため、骨髄由来細胞の歯周組織構成細胞への分化能について検討した。その結果、線維芽細胞、破骨細胞、歯根膜組織中に紡錘形の細胞、血管を構成すると考えられる細胞など、骨髄由来の細胞が歯周組織構成細胞として多数存在することが明らかとなった。これら骨髄由来の細胞は歯周組織への持続的な機械的刺激により増加する傾向が認められたことから、メカニカルストレスが細胞の遊走や分化に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度研究では人歯髄から得られた細胞を用いて研究を推進させる予定であった。しかしながら前年度に得られた象牙芽幹細胞株が非常に興味深い性格を有しており、本細胞の解析を行うことにより、より有用な研究データが得られると判断した。そのため昨年度に引き続き象牙芽幹細胞株が新規生体機能付加インプラントシステムとしての適正な性格を有するか否かについて細胞生物学的な解析を行った。また一方で骨髄幹細胞の歯根膜線維芽細胞への分化機構解析を一部前倒しで行っており、興味深いデータが得られつつある。研究進捗状況に関しては、研究の遅れている項目もあるが、進行している項目もあり総合的に判断しておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
象牙芽幹細胞株の研究データを基として、引き続き同培養細胞株を用いてチタンインプラントもしくはセラミック等の人工生体材料と象牙質との結合実験を進める。また象牙芽幹細胞株の生体内での細胞分化について詳細に解析するととともに、骨組織環境中で象牙芽幹細胞がどのような組織を誘導するかについて解析する。実験方法としては象牙芽幹細胞をコンフルエントに達するまで培養し石灰化誘導培地にて誘導を行う。その後細胞を回収し骨組織中に移植する。細胞の移植は細胞単体、上記のチタンインプラントもしくはセラミック等の人工生体材料と共に行い、象牙質周囲にどのような組織が形成されるか組織学的に観察を行う。同時にチタンインプラント体と象牙質が強固に結合する条件を検討する為、チタンプレート上で象牙芽培養細胞を培養し、細胞分化能に及ぼす影響について検討するとともに、培養象牙細胞とチタンプレートをマウス背部皮下に埋入し、象牙質とチタンプレートとの接着性を組織学的に判定する。 またヒト歯髄細胞を用いてチタンインプラント結合性の細胞培養法開発を行う為、ヒト抜去歯の歯髄組織から培養細胞樹立を試みる。同時にヒト抜去歯歯根組織から歯根膜線維芽細胞の樹立を行う。樹立した歯髄細胞に関しては細胞の性格、分化能の検定、効率的な細胞分化誘導法について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画 当該年度の設備・備品の申請はない。消耗品に関しては実験動物、培養用試薬、遺伝子発現解析、免疫組織化学関連試薬等、各種抗体を購入するために経費が必要である。特に当該年度は引き続き細胞培養関連の試薬購入が主に必要となる。旅費に関しては口腔科学会総会(岡山-栃木)硬組織再生生物学会学術大会(岡山-神奈川)にて研究成果発表予定のため申請した。謝金・その他に関しては英文論文1編の発表予定である。この為の論文投稿料(論文掲載費)を申請した。 繰越し金が生じた理由は以下の通りである。 象牙芽幹細胞株が非常に興味深い性格を有することが判明し、本細胞の解析を行うことでより有用な研究データが得られると判断した。そのため昨年度に引き続き象牙芽幹細胞株が新規生体機能付加インプラントシステムとしての適正な性格を有するか否かについて細胞生物学的な解析を行った。そのため当初計画していた人歯牙からの細胞株樹立研究研究計画が延期され、研究経費の一部が次年度へ繰り越されることとなった。
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