研究課題/領域番号 |
23592996
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
仲西 修 九州歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (50137345)
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研究分担者 |
石川 敏三 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90034991)
椎葉 俊司 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20285472)
吉田 充広 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40364153)
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50423976)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌性疼痛 / 神経因性疼痛 / グリア / 神経栄養因子 |
研究概要 |
本研究では、ラットの顎・顔面部レベルにおける癌性疼痛および神経因性疼痛の病態について分子機構解明、つまり脊髄の神経―グリア相互作用の時系列的・局所的変化を解明し、神経栄養因子誘導による治療やグリア細胞の活性化の抑制が予防的および慢性期に治療応用できるか否か、基礎的知見を検討している。神経因性疼痛モデル(坐骨神経のCCI(絞扼性神経損傷:Bennett)および癌性疼痛モデル(癌細胞(Walker256B carcinocarcinoma;2x106を眼下頬部皮下注)を作成し、その組織切片でのc-fos遺伝子発現およびDNA断片化に対するTUNEL染色とBDNFに対する免疫染色を検討した。その結果、グリア細胞が神経障害性疼痛や癌性疼痛の原因と考えられる神経可塑性とどのような相互関係を有するかが若干ではあるが明らかとなり、NO産生抑制, NOS阻害薬、OHラジカルスカベンジャー,などが神経障害性疼痛に有用であることを証明しつつある。機序としては拡散性の強いPG(prostaglandin)やNOが近傍のグリアを刺激することで神経可塑性が形成されることに起因すると考えている。そこで、神経障害性疼痛の治療法として我々はBDNF(Brain-derived neurotrophic factor)誘導やグリア細胞の活性化の抑制を考えている。癌性疼痛の自発痛において、疼痛モデルの顔面部グルーミング時間の延長が癌細胞接種後10日目をピークに観察された。これに、癌性疼痛の既に発生した疼痛モデルの4日目からプロペントフィリン(アデノシン再取り込み阻害剤)を投与によって、鼻毛部での痛覚過敏は軽度ではあるが抑制効果を示した。また、通常では9日目以降に見られる食欲減退はプロペントフィリンの投与で回復することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ラットの顎・顔面部レベルにおける癌性疼痛および神経障害性疼痛の病態について分子機構解明、つまり脊髄の神経―グリア相互作用の時系列的・局所的変化を解明し、神経栄養因子誘導による治療やグリア細胞の活性化の抑制が予防的および慢性期に治療応用できる可能性の基礎的知見を検討している。神経障害性疼痛モデル実験では神経障害性疼痛と最も関係深い神経可塑性の原因として、神経-グリア間における相互作用のとしてのPG(prostaglandin)やNOとグリアとの関係を明らかにしつつある。癌性疼痛モデルでも神経障害性疼痛と同じくその作用機序におけるプロペントフィリン(アデノシン再取り込み阻害剤)がグリアの作用抑制することで,痛覚過敏抑制は若干であるが認められたことから、癌性疼痛においても神経-グリア間の相互作用の存在の関与している可能性が考えられる。しかし現時点での最も大きな効果としては末期に現れる食欲減退がプロペントフィリンの投与で抑制でき、食欲回復が図れたことで、この部分の重要性をさらに追求していく必要性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄の神経―グリア相互作用の時系列的・局所的変化を解明し、神経栄養因子誘導による治療やシンプス再構築および治療法の確立を検討する。神経障害性疼痛モデル実験では神経障害性疼痛と最も関係深い神経可塑性の原因として、PG(prostaglandin)やNO等とグリアとの関係を明らかにするとともに、その治療法としてBDNF誘導やグリア細胞の活性抑制などについて検討してゆく所存ある。癌性疼痛でも神経障害性疼痛と同じくその作用機序におけるプロペントフィリン(アデノシン再取り込み阻害剤)のグリアの作用抑制で,痛覚過敏の抑制が若干ではあるが認められたことから、脊髄の神経ーグリアの相互作用を更に検討する必要が明らかとなった。そのために、神経ーグリア反応とシナプスの再構築について検討し、最終的には治療法として、脳由来神経栄養因子(BDNF)による治療法を検討する。様々な神経栄養因子(nerve growth factor;NGF, basic fibroblast growth factor;bFGF, brain derived neurotrphic factor;BDNF )投与、あるいは、その誘導体、4-methyl catechol(4-MC)が脊髄損傷部位および隣接部位のapoptosisを抑止できるか否か、グリア反応と隣接部位でのシナプス再構築、および運動・知覚機能の修復をあわせ検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
脊髄の神経―グリア反応とシナプス再構築および治療法の確立について検討する。とくに、分子病理学的検討をかさね、治療法を検討する。1.分子病理学的検討では、神経障害後3、5、14日目に脊髄を摘出、凍結し、クライオスタットにて厚さ10μmの凍結切片を作成し、これらの組織切片に対してc-fos遺伝子発現をin situ hybridization法にて検討する。また、異なる組織切片でDNA断片化に対するTUNEL染色とastrocyte, s100β,BDNFに対する免疫染色を検討し、apoptosisがcaspase活性、ラジカル、TNFa他とどのような相互関係を有するかを検討する。 caspase 阻害薬(ZVAD)、カタラーゼ,SOD(ラジカル捕捉剤)、TNF-α阻害薬を経静脈的に投与して遺伝子発現と細胞死の面より検討する、またs100欠損マウスで神経因性疼痛モデルを作成し,アストロサイトーs100蛋白の関与をさらに確認する.2.最適な神経栄養因子の探索では、ラット、マウス脳由来神経細胞、神経幹細胞を培養し、神経栄養因子の産生促進活性評価と細胞内シグナル伝達の修飾活性を評価する。 末梢神経障害後の痛覚過敏実験で、4-メチルカテコールおよび活性の確認された神経栄養因子について、脊髄細胞の修復作用を評価する。また効果が認められた個体については、組織化学的解析を行う。
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