• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

歯髄組織に由来するニューロスフェアを用いた前脳虚血病態の改善

研究課題

研究課題/領域番号 23592997
研究機関北海道医療大学

研究代表者

三浦 美英  北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50241716)

研究分担者 金澤 香  北海道医療大学, 歯学部, 助教 (40453279)
倉茂 秀平  北海道医療大学, 歯学部, 助手 (60584026)
キーワード前脳虚血 / 歯髄 / neurosphere / ラット
研究概要

当初の実験計画ではneurosphereを一旦凍結させたものを用いるFNDC群を想定していたが、neurosphere生産性が著しく低く、通常培養(NDC群)の3倍以上のラット匹数を必要としたため、動物匹数の節減と実験に要する時間を考慮し、FNDC群は行わないこととした。
慢性実験:実験群は、虚血侵襲を与えないSham群、生理食塩水を投与するNS群、歯髄細胞を投与する歯髄細胞移植群(DPC群)、そしてneurosphereを移植するneurosphere由来細胞移植群(NDC群)の4群とした。慢性実験はハロタン麻酔下に前脳虚血のための手術を行い、厳密な生理学的コントロールの下に11分間の前脳虚血侵襲を与えた。生理食塩水、歯髄細胞、そしてneurosphereは虚血3時間後に尾静脈より投与した。ラットは2週間生存させ、12,13,14日目に水迷路試験を行った。n=8~11で、NS群では約3割のラットが虚血後に死亡し、DPC群とNDC群では約1割の死亡に留まった。14日目にsacrificeし、脳組織標本を作成した。現在CA1領域の神経細胞損傷率のデータが得られつつある。暫定的なデータだが、海馬CA1領域の損傷神経細胞率はSham群20%、NS群76%、DPC群70.5%, NDC群56.6%であり、NDC群はNS群に比し低値のようである。
急性実験:上記4群で、虚血後の脳組織に発現するTNF-α、IL-1β、IL-6、およびBDNFのmRNAの経時的発現をRT-PCRで測定している。計測時点は虚血直後、虚血後3時間、6時間、12時間、24時間、および対照群の6時点である。計24群であり、ラット匹数も多数必要となるため、1時点のn=3と設定している。現在はこの実験に取り組んでいるところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

山形大学より来学中の研究員が慢性実験を試みたが、限られた時間内では実験に必要な品質(虚血モデル)が得られなかった。そのため、研究代表者が手術および周術期管理の全てを行い、研究員は急性実験を行うこととした。実験環境の整備(動物購入、試薬購入等)およびRT-PCRの指導は研究分担者の金澤香が担当している。3名の分業体制は有効に機能しており、研究は現在のところおおむね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

慢性実験においては、当初予定していた虚血後生存期間1か月を2週間に短縮したこと、凍結neurosphereを用いるFNDC群を上記理由により中断したことの2点により、実験が促進され、慢性実験はほぼ終了した。海馬CA1領域の神経細胞損傷率のカウントもほぼ終了している。大脳皮質の神経細胞損傷率の検討はまだ行なっておらず、今年度前半までに終了する予定である。
急性実験は順調に進捗しており、虚血手術が必要な実験はまもなく終了する。RT-PCRによる脳組織サイトカインおよびBDNFのmRNA発現についてのデータは本年度8月までに得られる予定である。慢性実験と急性実験のデータが全て得られた後に解析を行い、論文作成を開始したい。

次年度の研究費の使用計画

neurosphere投与の転帰への効果を明確化するため、虚血時間を通常の10分から11分に延長した影響で死亡率が増加した。また、当初予定していたFNDC群の予備実験で想定以上のラット匹数を要した。この2つの理由により、想定を超えるラット匹数を要し、それに応じて試薬購入(麻酔薬、医療ガス、培養関係試薬)が必要であったため、今年度使用できる研究費は多くない。しかし、既に急性実験も終了しつつあり、試薬も新規に購入する分は多くはないので、研究費の範囲内で研究を完遂できる見込みである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] In reply: superior recovery profiles of propofol-based regimen as compared to isoflurane-based regimen in patients undergoing craniotomy for primary brain tumor excision: a retrospective study2013

    • 著者名/発表者名
      Miura Y
    • 雑誌名

      Journal of Anesthesia

      巻: online first ページ: online first

    • DOI

      10.1007/s00540-013-1603-y

  • [雑誌論文] Superior recovery profiles of propofol-based regimen as compared to isoflurane-based regimen in patients undergoing craniotomy for primary brain tumor excision: a retrospective study.2012

    • 著者名/発表者名
      Miura Y, Kamiya K, Kanazawa K, Okada M, Nakane M, Kumasaka A, Kawamae K
    • 雑誌名

      Journal of Anesthesia

      巻: 26 ページ: 721-727

    • DOI

      10.1007/s00540-012-1398-2

    • 査読あり
  • [学会発表] Comparisons of propofol and isoflurane at electroencephalographically equivalent doses on outcomes from severe forebrain ischemia in the rat

    • 著者名/発表者名
      Airi K, Kanazawa K, Nakane M, Kawamae K, miura Y
    • 学会等名
      European Society of Anesthesiology
    • 発表場所
      バルセロナ、スペイン

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi