研究課題/領域番号 |
23593001
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岡 俊一 日本大学, 歯学部, 准教授 (20256879)
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研究分担者 |
鈴木 直人 日本大学, 歯学部, 教授 (10226532)
岡田 明子 日本大学, 歯学部, 准教授 (10434078)
中島 一郎 日本大学, 歯学部, 教授 (90198078)
大井 良之 日本大学, 歯学部, 教授 (60271342)
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キーワード | 瞳孔 / 唾液 / ストレスホルモン / αアミラーゼ / コルチゾール / 痛み / 自律神経反射 |
研究概要 |
本研究は、自律神経-副腎髄質系ストレスマーカーとして注目されている唾液中αアミラーゼと、麻酔深度のパラメーターとして用いられてきた瞳孔という極めてユニークな指標を組み合わせたものである。つまり、ストレス負荷時のαアミラーゼとストレス刺激により生じる瞳孔散大反応との関係を調べることで、瞳孔散大反応が、1.ストレス反応の指標として有用かどうか?2.刺激により生じる瞳孔散大反応が、単なる交感神経反射なのか?あるいはより中枢レベルの反射なのか?のメカニズムを解明することを本研究の目的にしている。 具体的には、cold pressor testを痛みを伴うストレス刺激(tonic pain)を与え、ストレス前、ストレス時およびストレス後の唾液中のαアミラーゼおよびコルチゾールを測定し、瞳孔散大反応との関係を検討する。同時に、痛みの程度、血中ノルアドレナリン濃度、心拍変動(心拍ゆらぎ)、血圧、脈拍を測定する。 当該年度(平成24年度)は、「瞳孔散大反応のストレス応答としての有用性」をテーマに行った。具体的には、30名の健康成人を対象に、点滴を確保し、コットンロールを噛ませ、唾液を採取した。同時に瞳孔径、心拍変動、血圧、脈拍を測定した。さらにノルエピネフリン測定のための採血も行った。唾液の採取は、ストレス時、ストレス後1~3分、5~7分後、10~12分後、その後も刺激開始から30分まで行った。 その結果、αアミラーゼは刺激直後(刺激後1~3分)にピークを示したが、コルチゾールは、刺激後10~12分後にピークを示した。 また、cold pressor test時に、痛みを訴え、また血圧、脈拍も上昇、増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の当該年度(平成24年度)の研究は、「瞳孔散大反応のストレス応答としての有用性」をテーマに行った。 具体的には、30名の健康成人を対象に、刺激開始から30分まで、αアミラーゼ、コルチゾール、心拍ゆらぎ、行った。 その結果、αアミラーゼは刺激直後(刺激後1~3分)にピークを示したが、コルチゾールは、刺激後10~12分後にピークを示した。また、cold pressor test時に、痛みを訴え、また血圧、脈拍も上昇、増加した。 本研究は、最終的には痛みの客観的測定、自律神経反射の測定、ノルエピネフリンの測定などのパラメーターを用いるが、自律神経反射の測定、ノルエピネフリンのデータがまだ十分でない。しかしそれ以外は極めて順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本研究の最終年度にあたる。被験者約30名を用い、唾液を用いたαアミラーゼ、コルチゾールの測定、Visual Analogue Scaleを用いた痛みの測定、ノルエピネフリンの測定、自律神経反射の測定、バイタルサインの測定を行う。被験者30名のデータ採取が修了後、平成24年度のデータ約30名分とあわせて分析に入る。 この中で、自律神経反射の測定は、唾液中のストレスホルモンとの関連性を検討することが難しい場合、最終的にデータとして採用しない予定である。最終決定はデータ分析後、つまり平成25年度に検討する。 これらの結果をまとめ、学会発表および論文にする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)は、23,728円となった。これは当初の予定に比べ、消耗品の必要数量が少なく、また単価が異なったためである。 平成25年度は本研究の最終年度にあたる。上記使用額を加え、24年度同様「瞳孔散大反応のストレス応答としての有用性」をテーマに行う。 具体的には、30名以上の健康成人を対象に、点滴確保後、コットンロールを噛ませ唾液採取をする。同時に瞳孔径、ノルエピネフリン濃度、血圧、脈拍等を測定する。 上記のデータ採取を円滑に行うために、αアミラーゼアッセイキッド、コルチゾールアッセイキッド、ノルエピネフリン濃度測定に必要な分析検査代を計上する。またデータが膨大であり、さらに研究分担者とデータ、進行具合を共有するために、核となるパーソナルコンピューターを購入する予定である。 さらに最終年度ということもあり、国際学会および国内学会でデータの一部を発表する予定でいる。
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