麻酔効果の変化に関し、新規薬力学的相互作用を実験的に検討するとともにその臨床的意義を考察した。受容体やイオンチャネルという従来とは異なる作用点:生体膜脂質に着目し、局所・全身麻酔薬の脂質二重層に対する作用と、麻酔薬の膜作用が膜活性成分を含む飲食物で影響される可能性を検証した。その結果、両麻酔薬は構造特異的に臨床効果と相関する強度で膜流動性を修飾し、この機序的膜作用は植物性飲食物に含まれるフラボノイドやアルカロイドにより減弱あるいは増強された。以上の結果から、生体膜に関する麻酔機序を提唱し、「ハーブやサプリメントによる周術期の麻酔効果減弱・増強」へと研究を発展させる理論的コンセプトを構築した。
|