研究課題/領域番号 |
23593007
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
栗田 賢一 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40133483)
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研究分担者 |
中島 美砂子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 歯科口腔先進医療開発センター 再生歯科医療研究部, 部長 (20207773)
平田 仁 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80173243)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 末梢神経再生 / 歯髄幹細胞 / 麻痺モデル |
研究概要 |
本研究はヒト歯髄幹細胞移植による末梢神経麻痺の新しい再生治療法の開発を目指した前臨床研究を行うことを目的とする。 本年度はまず、ラット末梢神経麻痺モデルおよびその評価方法の確立を行った。 まず、ラットの左坐骨神経に5mmの実質欠損を作成し、2mm径のコラーゲンチューブを用い、コラーゲンをscaffoldとして、1.0×10~6cellsの歯髄幹細胞をチューブ内に移植し、同欠損部を再建した。当初、8週齢SDラットを用いる予定であったが、移植実験のため近交系の方が的確と判断、10週齢F344N/Slcに変更した。また、scaffoldにマトリジェルを用いていたが、操作性が悪く、2か月経過後もマトリジェルの残渣を認め、神経線維や神経鞘の再生が認められなかったことからマトリジェルが神経線維の進入を阻害していると判断し、scaffoldをコラーゲンへ変更した。 また、機能評価法としてSFIの手技確立を試みたが、安定したラットの足跡を記録することは困難であり、研究期間も考慮するとSFI以外の方法を用いるのが妥当と判断した。よって、代替評価として前頸骨筋の湿重量測定に加え、HE染色にてその筋萎縮評価をすることとした。 組織評価法として、Neurofilament(NF)抗体およびMyelin basic protein(MBP)抗体を用い、それぞれ神経線維およびミエリン鞘の染色を行った。また、武藤化学のルクソールファーストブルー溶液を用いたクリューバー・バレラ染色によるミエリン鞘評価法も確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
顕微鏡手術の器材準備・手術手技の確立に予想外に時間を要してしまったこと、マトリジェルがscaffoldとして不適格であったことから、結果として動物モデルの確立が遅くなってしまったことなどが要因として考えられる。また、組織評価系の確立にも時間を要してしまったことも原因として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、末梢神経麻痺モデルおよび組織・機能評価法が確立できたため、次年度はこの方法を用いて細胞移植後の神経再生評価を行う。また、移植細胞数を変化させたり添加因子を加えるなど、移植条件を変化させた際に神経再生に与える影響についても検討する。さらに、歯髄幹細胞が末梢神経再生にポジティブに働く要因の解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
組織評価・解析用にノートパソコンを新規購入する予定である。その他、ラット購入や細胞培養試薬・器具、組織評価用試薬・ガラス器具等の購入費、学会発表費等に充当する予定である。
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