研究課題/領域番号 |
23593007
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
栗田 賢一 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40133483)
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研究分担者 |
中島 美砂子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (20207773)
平田 仁 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80173243)
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キーワード | 末梢神経麻痺 / 再生 |
研究概要 |
本年度は昨年度の結果に基づき、scaffoldをコラーゲンに変更して実験を行った。しかしながら、3週間経過後も行動観察にて左足の運動麻痺が改善せず、HE染色にて炎症像が多く、NF染色での神経線維の侵入も乏しかった。 そこで細胞数を1.0×10~6 cells/10μLコラーゲンから中島らが抜髄後根管内移植モデルでの歯髄移植時に用いている細胞濃度(3.0×10~5 cells/10μL)に変更し、さらに文献を読み直し、免疫抑制剤の使用を試みたところ、1週間経過後には歩行行動の劇的な改善を認めた。 組織学的には再生神経の評価を行い、電子顕微鏡にてコントロール群と比較して歯髄幹細胞移植群では太い有髄神経の再生を多く認め、線維芽細胞やコラーゲン線維は少なかった。また、移植後の歯髄幹細胞の局在を調べるため歯髄幹細胞をDiI標識して移植後2週間で凍結切片を作製しS-100染色を行ったところ、歯髄幹細胞はS-100陽性のシュワン細胞に直接分化しておらず、S-100陽性シュワン細胞の近傍に存在していることがわかった。そこで末梢神経再生促進メカニズム解明のため、神経栄養効果を調べた。BDNF,GDNF,NGF,IGF,VEGFのin situ hybridizationを実施したところ、上記すべての因子を発現していることがわかった。 In vitroにおいて、歯髄幹細胞上清と株化シュワン細胞の共培養を行ったところ、シュワン細胞の増殖が優位に促進され、アポトーシスを優位に抑制した。また、TaxiscanFLを用いて歯髄幹細胞上清による株化シュワン細胞の遊走効果も確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯髄幹細胞移植治療の適応限界時期の検討が行えていないが、その他はおおむね予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では本年度は歯髄幹細胞と他組織幹細胞との末梢神経再生能の比較を行う予定であったが、過去の中島らの研究やその他文献との比較により、他組織幹細胞に対する歯髄幹細胞の優位性を認めるため、さらに踏み込んで歯髄幹細胞の末梢神経再生促進メカニズムを解明するため、in vitroにおいて確認された歯髄幹細胞のシュワン細胞に対する増殖効果および抗アポトーシス効果を、それぞれKi67、Caspase3とS-100の免疫二重線色にて確認をする。 また、semithin sectionをトルイジンブルー染色することで軸索数をカウントし、歯髄幹細胞移植群とコントロール群、自家移植群の再生神経の量的比較・評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
歯髄幹細胞の末梢神経再生促進メカニズム解明のための試薬の購入や、学会発表や論文投稿費に使用する予定である。
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