昨年度、組織学的に再生神経の評価を行ったところ、コントロール群と比較して歯髄幹細胞移植群では太い有髄神経の再生が多い傾向が確認できた。引き続き術後5週で再生軸索の直径および密度に関して統計学的評価を行ったところ、再生軸索の直径は歯髄幹細胞移植群およびコントロール群と比較して自家移植群で最も太かった。軸索密度においては歯髄幹細胞移植群が自家移植群より有意に高く、コントロール群が最も低かった。神経自家移植群との比較では、歯髄幹細胞移植群の再生軸索直径は細かったが、密度は有意に高かった。したがって、歯髄幹細胞は末梢神経麻痺の細胞治療に有効である可能性が示唆された。 また昨年度のin vitro実験の結果に基づき、in vivoにおいても歯髄幹細胞がシュワン細胞に対して増殖効果および抗アポトーシス効果を示すのか、それぞれKi67、Caspase3とS100の免疫二重染色を行い確認した。増殖効果に関しては、歯髄幹細胞はシュワン細胞に対して増殖効果を認めた。抗アポトーシス効果に関しては、歯髄幹細胞は何らかの細胞のアポトーシスを抑制していることが確認された。
|