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2012 年度 実施状況報告書

揮発性麻酔薬による虚血心筋保護効果におけるオートファジーの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23593008
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

宮前 雅見  大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20298821)

研究分担者 堂前 尚親  大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (60115889)
金田 一弘  大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (90533886)
杉岡 伸悟  大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (90278573)
小谷 順一郎  大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40109327)
キーワードsevoflurane / heart / cardioprotection / autophagy / ischemia
研究概要

[目的]セボフルランプレコンディショニング(Sevo PC)は虚血心筋を保護するが、その効果は虚血時間が長いと消失する。最近、オートファジーが心筋虚血再灌流障害に関与するとの報告がある。 初年度の成果で虚血前のオートファジーの誘導が長時間虚血により消失したSevo PCの梗塞サイズ縮小効果を回復することが判明した。今年度の目的はこの効果の細胞内シグナル伝達をwestern blotにより解明することである。
[方法]モルモット灌流心で45分間の虚血後120分間再灌流(IR)を行った群 (CTL-45)、CTL- 45にSevo(2%)を虚血前10分間投与した群(SEVO-45)と、オートファジー誘導剤クロラムフェニコール(CAP)をCTL-45の虚血前20分間とIR中投与した群(CAP-45),SEVO-45にCAP処置を行った群(SEVO-45+CAP)、それぞれにオートファジー阻害薬の3-methyadenin (3MA)を虚血前に投与した群の計8群 (各群、n=4)を作製した。虚血前に心筋を採取し、オートファジー関連蛋白質(LC3-I, II)、Akt, glycogen synthase kinase 3β (GSK3β)をWestern blotにて、autophagosomeを電顕にて検出した(各n=4)。
[結果]SEVO-45, CAP-45でCTL-45に比べautophagosome の増加、LC3-II/LC3-I比の上昇、Akt, GSK3βのリン酸化が増加した。これらはSEVO-45+CAP でさらに増強した。この効果は3MAの投与で消失した。
[考察]長時間虚血により消失したSevo PCの心筋保護効果はCAPを加えることにより回復するが、この効果にはオートファジーの誘導とAkt, GSK3βのリン酸化が重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年計画の2年目としては計画通りに研究は進んでいる。オートファジーが虚血心筋に対して保護的に働くのか傷害的かについては未だ意見の一致を見ていない。我々のこの2年間で得られたデータからは明らかに保護的であることが判明した。しかし、傷害的であるとの報告もあり今後さらなる研究が必要である。

今後の研究の推進方策

オートファジーが虚血心筋に対して保護的に作用することがこの2年の研究で明らかになった。また、この作用は揮発性麻酔薬の虚血心筋保護作用にも関与していると考えられる。今後もこのメカニズムの解明に全力を注ぐ予定である。このメカニズムが解明されれば冠動脈疾患を有する患者の周術期の管理に大きな戦略の一つとなる。これまで調べたオートファジー関連蛋白に加えcathepsin B, Beclin-1など、アポトーシス関連酵素であるMAP kinases, caspaseの発現をwestern blotと免疫組織化学染色で検討する。これらの発現と梗塞サイズの関係を明らかにする。さらに、これまで提唱されている心筋保護のメカニズムの中で特にミトコンドリアを中心に研究を進めて行く予定である。細胞の生死に大きく関与するmitochondrial permeability transition pore (MPTP)の開口に関して詳細に検討する。特にオートファジーがMPTP開口にどのように関与するのかを明らかにしたい。

次年度の研究費の使用計画

今後はモルモットを使用して心筋からミトコンドリアを抽出し詳細に検討する。これらの動物の購入(約100匹、1匹;6,000円)に研究費を使用する。また、ミトコンドリアのMPTPの開口実験にCalcein、Western blotのための各種抗体を購入する。さらに、各群でのオートファゴゾームの出現を電顕で検討するための試薬,抗体に研究費を使用する予定である。また、その成果を国内学会(日本麻酔科学会)、国際学会(アメリカ)で発表する旅費や資料作成、研究補助に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Sevoflurane Confers Additive Cardioprotection to Ethanol Preconditioning Associated With Enhanced Phosphorylation of Glycogen Synthase Kinase-3β and Inhibition of Mitochondrial Permeability Transition Pore Opening.2012

    • 著者名/発表者名
      Onishi A.
    • 雑誌名

      J Cardiothorac Vasc Anesth.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1053/j.jvca.2012.10.002.

    • 査読あり
  • [学会発表] セボフルランポストコンディショニングの虚血心筋保護効果にはオートファジーの誘導が必要である.2012

    • 著者名/発表者名
      稲村吉高
    • 学会等名
      第40回日本歯科麻酔学会総会・学術集会
    • 発表場所
      アクロス福岡(福岡市)
    • 年月日
      20121004-20121006
  • [学会発表] 心筋虚血再灌流障害におけるnecroptosisの関与.2012

    • 著者名/発表者名
      越沼 静
    • 学会等名
      第40回日本歯科麻酔学会総会・学術集会
    • 発表場所
      アクロス福岡(福岡市)
    • 年月日
      20121004-20121006
  • [学会発表] 心筋虚血前のオートファジーの誘導は長時間虚血により消失したセボフルランプレコンディショニング効果を回復させる.2012

    • 著者名/発表者名
      塩見真由美
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第59回学術集会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(神戸市)
    • 年月日
      20120607-20120609
  • [学会発表] セボフルランポストコンディショニングの虚血心筋保護効果にはオートファジーの誘導が必要である.2012

    • 著者名/発表者名
      稲村吉高
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第59回学術集会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(神戸市)
    • 年月日
      20120607-20120609
  • [学会発表] セボフルラン・エタノールによる心筋プレコンディショイングの細胞内メカニズムの解明.

    • 著者名/発表者名
      大西杏奈
    • 学会等名
      第9回日本歯科麻酔学会中国・四国地方会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)

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公開日: 2014-07-24  

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