研究課題/領域番号 |
23593011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金井 壮律 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20344517)
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研究分担者 |
北村 哲也 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00451451)
飯田 順一郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90151232)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯根膜繊維芽細胞 / 三次元立体培養 / 至適矯正力 |
研究概要 |
近年、矯正治療を行う患者の高齢化が進んでいるが、歯移動時に使用する矯正力は年齢問わずほぼ同じシステムを用いて治療を行っている。しかし、加齢に伴い歯を支える支持組織の一つである歯根膜線維芽細胞は、老化と細胞死によって細胞数が減少し生理機能の低下が進んでいると考えられる。そこで今回、加齢に伴った種々の三次元立体培養歯根膜線維芽細胞に矯正力を加え、効率的に破骨細胞を誘導できる至適矯正力を導き出す研究計画を構築した。1.資料採得矯正患者から便宜抜歯した歯より歯根膜を採取する。2.三次元立体歯根膜繊維芽細胞の 骨免疫関連サイトカインの定量分析1)採取した歯根膜をトリプシン処理し、歯根膜繊維芽細胞を含有した混和細胞を分離後に希釈培養を行ってモノクローンを確立する。確立した細胞のうち、typeI コラーゲン、オステオネクチンならびにアルカリホファターゼ発現陽性細胞を歯根膜繊維芽細胞と定義する。2)3継代目の歯根膜繊維芽細胞をφ5×3mm のコラーゲンスポンジ(Atelocollagen sponge, MIGHTY)を装着したプラスチック 24well プレートを用い、インキュベーター内で細胞培養を行う。3)細胞を回収して、破骨細胞誘導に関する骨免疫関連サイトカインの発現を確認するため RANKL、TNF-α、IL1-β および OPG 特異抗体を用いて免疫染色を施し光学顕微鏡下にて観察を行う。4) RANKL、TNF-α、IL-1β および OPG の発現量を mRNA 量を Real time PCR を用いて測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下に示す項目を研究期間内に明らかにすることとして申請した。患者各々の尿中に排泄される 8-OHdG 量より加齢に伴う歯根膜線維芽細胞老化を予測し、骨免疫学に基づいた矯正歯科治療時の至適矯正力を同定する。このことを背景に本研究では、歯の移動および歯槽骨改造の主体となる歯根膜繊維芽細胞老化、骨免疫関連サイトカイン量および矯正力に焦点を当てる。具体的には、1. 患者各々の尿中に排泄される 8-OHdG 量と歯根膜繊維芽細胞の 8-OHdG 量の相関性2. 歯根膜繊維芽細胞の 8-OHdG 量と骨免疫関連サイトカイン量の相関性3. 骨免疫関連サイトカイン量と矯正力の相関性4. 上記3項目から想定される歯根膜繊維芽細胞老化および骨免疫関連サイトカイン量の変化を明らかにし、患者各々の至適矯正力を導き出す。 当該年度において、年齢が10、20、30、40、50、60才代の矯正患者から、尿および便宜抜歯した歯より歯根膜を採取する予定であったが、高齢の患者数が少なくすべての年齢の患者から歯根膜および尿が採取できなかった。その他の項目については、研究計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
矯正力(機械的ストレス)負荷した三次元立体培養歯根膜繊維芽細胞の 8-OHdG と骨免疫関連サイトカインの定量分析1)培養した各年代別の三次元立体培養歯根膜繊維芽細胞に0.5、1.0,2.5,5.0,10.0 gf の力を発揮するの矯正力を1.3.7日間負荷する。この細胞を矯正力負荷細胞とする。(担当:金井)2)培養した各年代別の種々の矯正力負荷細胞を回収して、8-OhdG と破骨細胞誘導に関する骨免疫関連サイトカインの発現を確認するため RANKL、TNF-α、IL-1β および OPG 特異抗体を用いて免疫染色を施し光学顕微鏡下にて観察を行う。(担当:金井)3)各年代別の種々の矯正力負荷細胞 8-OHdG、RANKL、TNF-α、IL-1β および OPG の mRNA 量を Real time PCR を用いて測定する。(担当:金井、北村)4)矯正力負荷細胞の 8-OHdG 量と骨免疫関連サイトカイン量の相関および骨免疫関連サイトカイン量と矯正力の相関性を検討する。(担当:金井、飯田) 至適矯正力は、骨免疫関連サイトカインである RANKL、TNF-α および IL-1β 発現量が 最も多く且 RANKL の Antagonist である OPG 発現量が最も少ない時の矯正力を至適矯正力とする。 以上の実験結果より、矯正患者から採取した尿中の 8-OHdG 量よりその患者の歯根膜線維芽細胞老化と至適矯正力を予測し証明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費133.724円生じたのは、韓国矯正学会に参加する予定であったが、忌引きが生じ参加できなかったためである。昨年参加出来なかった当学会には、次年度参加する予定でなので次年度に研究費を使用する計画である。 また次年度研究費は、申請の通り研究に必要な消耗品、旅費、印刷費および研究成果の学会発表(国内外)等に使用する計画である。
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