研究課題/領域番号 |
23593014
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 助教 (70513670)
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研究分担者 |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 講師 (70533446)
神谷 真子 朝日大学, 歯学部, 助教 (80181907)
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キーワード | CCNファミリー / CCN2 / CTGF / CCN3 / NOV / 軟骨分化 / MAPK経路 / ERK1/2 |
研究概要 |
軟骨組織再生因子の1つとして期待されているCCN2は様々な生理活性物質と結合し、多彩な機能を発揮するタンパク質であり、内軟骨性骨形成の各段階に関与する因子である。 これまでの検討により、申請者らは同一の遺伝子ファミリーのメンバーであるCCN2とCCN3が軟骨の発生段階で協調的に作用していることを示してきた。そして、昨年度のCCN2、CCN3の発現時期と分布パターン解析の結果から、肋軟骨、四肢骨成長板軟骨等各種軟骨組織において発生の初期段階で6つのCCNメンバー中、CCN3が最も早期に強発現していることを見出した。 この結果を受け、本年度は初期軟骨分化過程におけるCCN2とCCN3両者の作用とその分子メカニズムについて検討した。 方法としては、胎生11.5日のマウス胎仔肢芽より調整した細胞の高密度培養系にリコンビナントCCN2, CCN3を添加する、あるいは両者をそれぞれ標的とするsiRNAを用いてノックダウンすることにより評価した。その結果CCN3は成熟した軟骨細胞の増殖分化を抑制する一方で、初期分化段階ではCCN2と同様に軟骨細胞の増殖とプロテオグリカン合成を促進することを見出した。 さらに、軟骨細胞の増殖ではCCN2,CCN3ともにERK1/2経路の活性化を促進し、ERK経路阻害剤の添加によりCCN2, CCN3の増殖促進効果が消失することが明らかとなった。そして両者を共に作用させると、ERK1/2経路の活性化と増殖促進効果がさらに高まることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に行うと計画した実験を順調に実施し、昨年度と本年度の結果をまとめCCN2とCCN3の発現時期と分布および軟骨細胞に対する機能について第54回歯科基礎医学会にて報告し、現在論文執筆、投稿準備中であり、順調に研究が進展しており現在までの達成度は十分といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果をふまえ、CCN2とCCN3の協調作用についてさらに解析を進めるために以下の計画で研究を進める。 (1)初期分化段階の肢芽細胞、および肋軟骨由来成熟軟骨細胞よりタンパク質を抽出し、CCN2およびCCN3の特異抗体を用いて免疫沈降ウエスタンブロット解析を行い分化段階における両者の結合性を明らかにする。 (2)リコンビナントタンパク質およびsiRNAを組み合わせて、CCN2およびCCN3が互いの機能に促進的あるいは抑制的に関与しているのかどうかを細胞増殖、プロテオグリカン合成等について評価する。そして、ERK1/2, p38MAPK, JUNKの活性化に作用するのか、培養軟骨細胞の免疫染色、リン酸化ERK1/2, p38MAPK, JUNKのウエスタンブロット解析、さらに各種MAPK阻害剤による、各種経路の関与の確認を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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