研究課題
最終年度は、軟骨の初期分化段階にあるE10.5マウス胎仔の肢芽のパラフィン包埋切片および肢芽より調整した細胞を用いた遺伝子発現解析およびmicro mass培養系を用いた解析から、CCN2およびCCN3の動態、機能について以下の結果を得た。まずE10.5マウスの肢芽の切片を用いて、CCN2およびCCN3の免疫染色と軟骨基質を検出する染色を行った結果、この時期ではCCN2は検出されなかったがCCN3は肢芽全体に発現が見られ、アルシアンブルーおよびサフラニンOの染色性は微弱であった。次いで、同時期から新生仔までの肢芽を破砕してRNAを調整し、リアルタイムPCR法にてCCNファミリーメンバーの発現解析を試みた結果、E10.5でCCN3の発現がみとめられたが、他のメンバーは検出限界以下であった。そしてCCN3の発現上昇に伴ってCCN2の発現がみられはじめた。以上から、軟骨基質の産生が乏しい、初期分化段階にある軟骨細胞でCCN3が他のメンバーに先駆けて発現し、続いてCCN2が発現することが示された。そこで、この時期のCCN3の機能を解析するためにmicro mass細胞培養系にリコンビナントCCN3を添加する系、およびsiRNAにてCCN3をノックダウンする系にて比較検討したところCCN3の添加でアルシアンブルーの染色性が顕著に増加し、ノックダウンにより染色性が低下した。また、昨年度の解析でCCN3の添加によりERK1/2の活性化が上昇したことから、他のMAPKについても検討したところ、p38, JNKでは変化は見られず、CCN3はERK1/2の活性化に関与していることが明らかとなった。そこでERK1/2経路の肢芽細胞の増殖、分化への関与について検討するためMAPK阻害剤を用いて解析した結果、CCN3の肢芽細胞の増殖促進およびプロテオグリカン産生促進にはERK1/2経路が関与していることが明らかとなった。
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