研究課題
ヒトの前歯交換期には、永久歯歯根吸収などの病理的問題が生じることがあるが、生理的な交換についても、永久歯歯胚と隣在歯歯根との3次元的大きさや位置関係の違いによる周囲への影響の相違について十分明らかにされているとはいえない。一方、正常な被験者では、倫理的な観点から被爆や組織採取を伴う研究を広範に行うことは難しい。そこで本研究では、各発育段階におけるウシの乳歯・後継永久歯・歯小嚢の大きさと乳歯歯根吸収の状況や永久歯萌出に伴うディスクレパンシー・動揺度等の状況を各種形態計測法等を用いて明らかにし、ヒトの前歯交換期の病理的状況の解明につながる生理的な永久歯萌出機構を明らかにすることを目的とする。月齢24-29月前後のウシ下顎前歯部の簡易規格X線写真撮影、写真撮影、CBCT撮影を行った。乳歯・永久歯の歯冠幅径、歯冠長、歯根長(吸収・形成程度の分類)、歯小嚢の幅径・長径・厚径、乳歯の動揺度の分類、ディスクレパンシーの計測、歯槽基底部の厚径、下顎骨体長等を実測もしくはX線写真、3次元画像解析ソフト等を用いて計測した。さらには乳歯抜歯を行い、乳歯歯根吸収部位・永久歯歯小嚢の形態・色彩・活性度等を記録・分類し、統計学的解析を行った。代生歯永久歯歯胚による先行乳歯並びに隣接乳歯歯根の吸収は認められたものの、隣接永久歯の吸収は認められなかった。3次元画像解析ソフトでは、先行乳歯歯根の歯槽骨ソケットと代生永久歯歯胚を包む歯槽骨空間が連なった歯導帯と考えられる歯槽骨中の構造が観察された。先行乳歯歯根の吸収量、歯槽骨との結合、代生永久歯歯根形成量と歯の動揺度に相関が認められた。
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Arch. Oral Biol.
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