• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

13C呼気試験による消化管機能と咀嚼能率の関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23593023
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

福山 英治  東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60326064)

研究分担者 島崎 一夫  東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (10420259)
小野 卓史  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221857)
キーワード国際研究者交流
研究概要

咀嚼は、食物を細分し唾液と混和することによって嚥下に適した性状に整え、また食物の表面積を増すことによって消化液との接触面積を増し消化を助ける働きがある。咀嚼による食物の細分が不十分であると、胃の機能的負担を増し消化吸収に影響を及ぼすと考えら
れている。健常成人を対象とし、咀嚼回数、口腔内環境などを変化させた場合の胃排出機能を調べた報告はされているが、咀嚼機能と胃排出速度の関連については未だ不明な点が多く、不正咬合者においては咀嚼機能の低下はすでに明らかにされているものの、胃腸機
能については報告は少ない。不正咬合による咀嚼機能低下は胃の機能的負担を増し胃排出速度の低下を招いている可能性が推測され、その関連性を明らかにすることは今後の課題であると考えられる。そこで、本研究では不正咬合による咀嚼機能の低下と胃腸機能の関
連性を検討した。被験群として、東京医科歯科大学歯学部附属病院矯正歯科外来に初診来院した永久歯列を有する不正咬合患者、対照群として同歯学部に所属している学生及び同歯学部附属病院のスタッフより個性正常咬合を有する者を抽出した。前年度に比較し、N数を増加した。胃排出速度の測定は13C 呼気試験法にて行い、呼気中13CO2存在率がピークになるまでの時間Tmax(実測値)を求めた。咀嚼機能は咀嚼力判定ガムを80回咀嚼させ、色彩色差計を用いてCIELAB表色系にて定量的に評価した。Tmaxならびに咀嚼能力について、2群間において有意差検定を行ったところ、不正咬合群ではTmaxが有意に遅延し、咀嚼能力は有意に低下していた。不正咬合に伴う咀嚼機能の低下は、胃腸機能を低下させている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

胃排出を評価する検査方法は諸外国や本邦では不透過マーカーを用いたX線法、ラジオアイソトープ(RI)法、アセトアミノフェン法、超音波検査などが用いられているが、いずれの方法もX線やRIによる被爆の可能性、解熱鎮痛剤による肝障害の可能性などの問題が
あった。Ghoosらによって報告された13C呼気試験法を用いることにより非侵襲的に胃排出測定が可能となった。13Cは炭素同位体の一つで安定同位体であり、放射線被爆が無いため取扱いが容易な標識化合物として注目されているもので、ヘリコバクターピロリの感染診断用剤として13C-尿素がすでに薬価収載されており、消化器分野では13C-尿素呼気試験法が臨床応用されている。この13Cを用いて胃排出機能を評価する方法が13C呼気試験法で、13C標識化合物を混和した試験食を摂取させると、標識化合物は胃から吸収されず排出され、十二指腸以下の小腸粘膜から速やかに吸収されて、吸収された13C標識化合物が肝で代謝されることにより13CO2が生成され、肺から呼気中に出現することが知られており、呼気中13CO2存在比の経時的な変化を調べることで胃排出速度を評価できる。この方法を用いることで、歯科に来院する患者を対象としても、安全に検査を実施することができ、順調に研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

咬合状態の改善に伴う咀嚼能率及び胃排出機能の変化を解析するために、不正咬合患者を対象として、矯正治療前後において、当該年
度に実施した一連の検査を実施、データを採得する。得られた結果を個性正常咬合を有する対象群と比較するとともに、同一被験者に
おける治療前後の咀嚼能率及び胃排出機能検査のデータの経時的変化を解析する。

次年度の研究費の使用計画

呼気中13CO2分析装置 1pk 945,000円/pk 945,000円 呼気採取バッグ 40pk 5,000円/pk 200,000円、 13C標識化合物 5pk 10,0
00円/pk 50,000円、 固形食品 20pk 1,000円/pk 20,000円、液状試料 20pk 1,000円/pk 20,000円、咀嚼能率測定ガム  10p
k 1,000円/pk 10,000円、解析用PC 1pk 150,000円/pk 150,000円

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 不正咬合は胃腸機能を低下する2012

    • 著者名/発表者名
      小池紗里奈、大森浩子、島﨑一夫、福山英治、小野卓史
    • 学会等名
      第71回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      盛岡・日本
    • 年月日
      20120926-20120928
  • [学会発表] Influence of masticatory disorder with malocclusion on gastric emptying2012

    • 著者名/発表者名
      Sarina Koike, Hiroko Ohmori, Kazuo Shimazaki, Eiji Fukuyama, Takashi Ono
    • 学会等名
      88TH CONGRESS OF THE EUROPEAN ORTHODONTIC SOCIETY
    • 発表場所
      Santiago de Compostela・Spain
    • 年月日
      20120618-20120623

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi