咀嚼による食物の細分が不十分であると、胃の機能的負担を増し消化吸収に影響を及ぼすと考えられている。不正咬合者での咀嚼機能の低下はすでに明らかにされているが、胃腸機能については報告は少ない。被験群として、永久歯列を有する不正咬合患者、対照群として同歯学部に所属している学生及び同歯学部附属病院のスタッフより個性正常咬合を有する者を抽出した。胃排出速度の測定は13C 呼気試験法にて行い、呼気中13CO2存在率がピークになるまでの時間Tmax(実測値)を求めたところ不正咬合群ではTmaxが有意に遅延し、咀嚼能力は有意に低下していた。
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