研究課題/領域番号 |
23593026
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
佐野 富子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40323977)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞/前駆細胞 / BrdU / 歯胚移植 / 象牙質形成 / アポトーシス / GFPマウス / 象牙芽細胞 / 細胞増殖 |
研究概要 |
平成23年度では、主に下記の実験で成果を得た。(1)マウス歯胚他家移植実験を用いた歯髄構成細胞集団の生後変化の解明【目的】萌出歯と未萌出歯を比較すると歯髄細胞の骨・象牙質形成能に差があることが報告されており、生後に歯髄構成細胞が変化することが示唆されている。そこで今回我々は、マウスを用いた歯胚他家移植実験系を確立し、歯髄構成細胞集団の変化を検索した。【方法】胎生期E15~17に母獣の腹腔内にBrdUを投与して、非対称分裂をする幹細胞/前駆細胞をラベルし(ラベル細胞)、深麻酔下で生後1~2日齢のラベルB6マウス下顎第一臼歯の歯胚を、歯根形成期の生後2週齢の非ラベルB6マウス上顎第一臼歯部抜歯窩へと移植し、3日~3週間後にアルデヒド系固定液で灌流固定し、μCT解析、EDTA脱灰後、パラフィン切片を作製し、抗ネスチン、抗BrdU、抗Ki67抗体を用いた免疫染色、Tunel染色を施し光顕で観察した。さらに、GFPトランスジェニックマウスをドナーまたはホストとして歯胚移植実験を行った。【結果および考察】移植歯胚は術後2週には萌出を完了し、正常な数の咬頭が形成され、歯根形成も正常に進行した。ラベル細胞は歯髄中央部血管周囲に維持されており、ネスチン陽性象牙芽細胞にコミットされていた。ドナー細胞は象牙芽細胞を含む歯髄細胞や血管細胞に維持されていたが、ホスト細胞が術後に歯髄内に増加することが明らかになった。以上より、歯髄構成細胞集団が生後に変化し、その分化能に影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した実験計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
23年度では生後1~2日齢のラベルB6マウス下顎第一臼歯の歯胚の他家移植実験を行なったが、これまでの歯胚移植術では、エナメル器に障害を与えてしまう場合があった。そこで次年度は、口腔粘膜を除去しない歯胚移植方法、並びに胎生期の歯胚を用いた歯胚移植術も実施する予定であり、研究課題が今後推進されることが期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は23年度と同じ実験系で口腔粘膜を除去しない歯胚移植方法、並びに胎生期の歯胚を用いた歯胚移植術の確立を行う1. 近交系マウス(C57BL/6)を用いて、胎性18日及び生後1~2日の第一臼歯歯胚を摘出し、生後2週の第一臼歯抜歯窩に他家移植する。術後1日~2週後にアルデヒド系固定液で灌流固定し、EDTA脱灰後、パラフィン切片を作製し、抗ネスチン抗体(象牙芽細胞の分化マーカー)、抗Ki67抗体(細胞増殖マーカー)を用いた免疫組織化学、およびTUNEL染色(アポトーシスの評価)を行う。2. 上記1と同じ実験をGreen Fluorescent Protein 遺伝子を全身に発現させたGFP遺伝子改変マウス(C57BL/6)と野生型マウス(C57BL/6)間で行い、ドナー細胞とホスト細胞との相互作用を検索する。3. 幹細胞は非対称分裂する(一方の娘細胞は盛んに細胞増殖をして分化の方向へ進むが、もう一方の娘細胞は分裂せずその場にとどまる)ので、DNA合成期に核内に取り込まれるBrdUを妊娠マウス腹腔内に毎日1回(150 mg/kg)3日間(胎生15~17日)投与すると歯髄幹細胞が強くラベルされる。このマウスを用いて上記1の実験を行い、歯髄形成過程における歯髄幹細胞の動態を検索する。
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