研究課題/領域番号 |
23593026
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
佐野 富子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40323977)
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キーワード | 歯髄 / Wntシグナル / 組織幹細胞 / 他家移植 / 歯胚移植 |
研究概要 |
GFPマウスと野生型マウス間で相互に歯胚移植を行い、歯胚移植後のホスト・ドナー相互作用を検索すると、ドナー由来の間葉細胞、象牙芽細胞、周皮細胞、内皮細胞が歯髄内に維持されていたが、樹状細胞や内皮細胞を含むホスト由来細胞が歯髄内に遊走することが明らかになった。さらに、歯髄内血管の由来を明らかにするために、移植後7、18、21日後にドナー血管およびホスト血管の関与を検索した。ドナーにGFPマウスを用いた場合に、7日でGFP+血管は24%、GFP+/-血管は39%、GFP-血管は37%であったのが、18日後にGFP+血管は23%、GFP+/-血管は74%、GFP-血管は3%であった。一方、ホストにGFPを用いた場合に、7日でGFP+血管は0%、GFP+/-血管は37%、GFP-血管は63%であったのが、21日後にGFP+血管は0%、GFP+/-血管は81%、GFP-血管は19%であった。以上より、歯胚移植後に、ホスト由来の血管が経時的に歯髄内で増加することが明らかになった。 さらに、BrdUラベル保持細胞と周皮細胞との関連、血管内皮細胞成長因子(VEGF)の役割を検索するために、周皮細胞マーカーNotch3、NG2、及びVEGF免疫組織化学を行った。血管周囲にVEGF、Notch3、NG2発現が見られ、BrdUラベル保持細胞のあるものはVEGF陽性を示した。以上より、BrdUラベル保持細胞を含む血管周囲細胞のVEGF発現が血管新生に重要な役割を果たすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究により、マウスを用いた他家歯胚移植動物実験系の確立に成功し、胎生期BrdUラベリング法とGFPマウスを組み合わせることで、擬似的に歯胚形成過程に於ける歯髄固有細胞と非歯髄固有細胞の相互作用を明らかにすることができた。しかしながら、BrdUラベル保持細胞と幹細胞マーカーとの関連の検索が十分でない。また、TOP/GALマウスを用いることで、歯の移植後に歯髄内で古典的Wntシグナルが亢進することが明らかになっているが、Wntシグナルのタイプの解明やWntシグナル発現細胞の特定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最近の研究で、歯髄内に分布する神経血管束の知覚神経がShhタンパク質を分泌し、血管周囲細胞のGli1発現を活性化することが明らかになり、Gli1が歯髄幹細胞のマーカーであることが示唆されている(Cell Stem Cell 14:160-173, 2014)。今後、BrdUラベル保持細胞とGli1発現との相関、ホスト・ドナー相互作用におけるGli1発現の由来を検索すると共に、BrdUラベル保持細胞とWntシグナルと関連を検索する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度にTop-gal遺伝子改変マウスを用いた歯胚移植後の歯髄形成過程におけるWntシグナルの解析を行い、発表予定であったが、研究分担者の佐野富子が体調不良により育児休暇延長となったため、解析が遅れ発表が次年度となったため。 次年度、Wntシグナルの解析の一部と学会発表を行うために使用する。
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