研究課題
最終年度の研究の目的は、ビーグル犬顎裂モデルにおける再生骨部分への矯正的な歯の移動の検証を行うことであった。これは、初年度および2年目において、腸骨由来未分化間葉系幹細胞(MSCs)の培養実験により、増殖能、分化能を検証し、また炭酸アパタイト担体(CAP)を含めた移植の至適条件を検討した結果を生体で検証しようとするものである。特に再生骨への歯の矯正移動を検証するためには一定の大きさの実験動物を用いる必要があることから、ビーグル犬を用いた一連の検討はきわめて意義のあることと考えられる。結果として、対照側としてCAPを単独で移植した場合には、骨再生速度が著しく遅延したのに対し、実験側においてMSCsおよびCAPを移植した結果、3か月以内の速やかな骨再生が生じ、移植後6か月で再生骨への歯の移動が可能となった。同一の矯正装置を用いた歯の移動様相の比較では、実験側では理想とされる歯体移動が達成されたのに対して、対照側では再生組織への歯根の移動が不十分となり、傾斜移動が認められた。歯の移動後の組織像の観察から、対照側の牽引側において新生骨の形成が低下していることが示された。また、根先部に過度な応力が負荷される結果となり、一部に歯根吸収像が認められた。以上の結果より、自己骨髄由来MSCsとCAP担体を至適条件で組み合わせて顎裂部に移植することにより、歯の矯正移動が可能な骨再生が生じることが示唆された。
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Cleft Palate Craniofac J.
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