研究課題/領域番号 |
23593030
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤田 正 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (90335662)
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研究分担者 |
白倉 麻耶 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (70549013)
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キーワード | 下顎頭再生 / 機能的矯正装置 |
研究概要 |
関節円板の位置や形態の変化は関節内の病態、とりわけ下顎頭の病的変化を惹起すると考えられている。また、成長期における下顎頭の器質的変化は下顎骨の成長障害を引き起こすことから、関節円板の位置形態異常は下顎骨の成長発育にも大きく影響を及ぼしていることが推察される。そこで本年度は、下顎骨の成長発育に対する関節円板の重要性を検討する目的で、以下の研究を実行した。 4週齢Wistar系雄性ラットに両側関節円板切除術を施したものを関節円板切除群(9匹)とし、対照群(5匹)には同週齢偽処置ラットを用いた。術後4週後に頭部X線規格写真およびマイクロCT撮影を行い、下顎骨の形態計測を行った。さらに、下顎頭部の組織切片を作製し、下顎頭の組織学的変化を観察した。 形態計測学的分析の結果、関節円板切除群の下顎頭は対照群と比較して、幅径に有意差は認められなかったものの、高径は有意に小さい値を示した。また、下顎骨骨体長は対照群と比較して有意に小さかった。組織学的には、関節円板切除群では対照群と比較して下顎頭の扁平化および線維層の肥厚、肥大細胞層の菲薄化が明らかとなった。 関節円板は下顎骨の内軟骨性成長に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、矯正歯科臨床の診断において関節円板の位置や形態を詳細に分析することの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、まず実験動物を用いて下顎頭切除術後に機能的矯正装置を用いることによる下顎頭再生機序を組織形態学的に解明、および下顎頭軟骨細胞に機械的刺激を加えることにより顎整形力が下顎頭軟骨に及ぼす影響を分子生物学的に解明する。さらには実験条件 を様々に想定することにより、良好な下顎頭の再生に必要最適な条件を検討し、機能的矯正装置が下顎骨に対して発揮する顎整形力が、どのように下顎頭を良好に再生し、下顎骨の成長を促進するのか、その機序や必要な条件を解明する。さらに、下顎骨劣成長患者に 対する機能的矯正装置が下顎骨成長発育と下顎頭形態に及ぼす効果について、長期的変化および安定性を含めた臨床的検討を行う。最後に、基礎的研究、臨床的研究両面からの総括を行い、顎顔面骨格の良好な成長発育を得るための確実な手法を確立し、その臨床応用 について検討する。このような実験計画から現在機能的矯正装置の下顎骨成長促進効果が下顎頭の良好な修復再生を経て起こっている様相を組織形態学的に明らかにし、さらには関節円板の重要性について検討することができたことから、おおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、下顎頭軟骨細胞に機械的刺激を加えることにより顎整形力が下顎頭軟骨に及ぼす影響を分子生物学的に解明する。さらには実験条件を様々に想定することにより、良好な下顎頭の再生に必要最適な条件を検討し、機能的矯正装置が下顎骨に対して発揮する顎整形力が、どのように下顎頭を良好に再生し、下顎骨の成長を促進するのか、その機序や必要な条件を解明する。さらに、下顎骨劣成長患者に対する機能的矯正装置が下顎骨成長発育と下顎頭形態に及ぼす効果について、長期的変化および安定性を含めた臨床的検討を行う。最後に、基礎的研究、臨床的研究両面からの総括を行い、顎顔面骨格の良好な成長発育を得るための確実な手法を確立し、その臨床応用について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度、下顎頭軟骨細胞に機械的刺激を加えることにより顎整形力が下顎頭軟骨に及ぼす影響を分子生物学的に解明する。さらには実験条件を様々に想定することにより、良好な下顎頭の再生に必要最適な条件を検討し、機能的矯正装置が下顎骨に対して発揮する顎整形力が、どのように下顎頭を良好に再生し、下顎骨の成長を促進するのか、その機序や必要な条件を解明する。以上のことから、顎顔面骨格の良好な成長発育を得るための確実な手法を確立し、その臨床応用について検討する。よって、これらの研究を遂行するための物品費や成果を報告するためあるいは情報収集のために旅費を、また外国語論文の校閲のための費用などを計上する予定である。
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