研究課題
関節円板の位置や形態の変化は関節内の病態、とりわけ下顎頭の病的変化を惹起すると考えられている。また、成長期における下顎頭の器質的変化は下顎骨の成長障害を引き起こすことから、関節円板の位置形態異常は下顎骨の成長発育にも大きく影響を及ぼしていることが推察される。そこで本研究では、下顎骨の成長発育に対する関節円板の重要性を検討する目的で、以下の研究を実行した。4週齢Wistar系雄性ラットに両側関節円板切除術を施したものを関節円板切除群(9匹)とし、対照群(5匹)には同週齢偽処置ラットを用いた。術後4週後に頭部X線規格写真およびマイクロCT撮影を行い、下顎骨の形態計測を行った。さらに、下顎頭部の組織切片を作製し、下顎頭の組織学的変化を観察した。形態計測学的分析の結果、関節円板切除群の下顎頭は対照群と比較して、幅径に有意差は認められなかったものの、高径は有意に小さい値を示した。また、下顎骨骨体長は対照群と比較して有意に小さかった。組織学的には、関節円板切除群では対照群と比較して下顎頭の扁平化および線維層の肥厚、肥大細胞層の菲薄化が明らかとなった。関節円板は下顎骨の内軟骨性成長に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、矯正歯科臨床の診断において関節円板の位置や形態を詳細に分析することの重要性が示唆された。
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