自閉症を含む発達障害の発症機序は多くの研究が進められているが、未だ明らかではない。本研究の目的は幼若期のストレスが出生後のepigeneticな遺伝子制御へ及ぼす影響さらに発達障害の発症への関連の可能性を明らかにすることである。 幼若期ストレスがepigeneticな遺伝子制御へ及ぼす影響に関しては、幼若期ストレスとして出生早期の母子分離を2種類の分離期間により行うことにより、ストレスの大きさと血中コルチコステロン値の関連を調べた。出生後6週間、3ヶ月後で両ストレス群間に明らかな差は認められなかった。また、脳内コルチコイド、脳内バソプレッシンに関しても両群間に明らかな差は認められなかった。ストレス暴露による海馬のグルココルチコイドレセプター(GR)の発現増強に関し、セロトニンの関与が報告されたことより、ストレス暴露による5HT関与について初代培養系を用いて実験を行ったがストレス群とコントロール群間にあきらかな差は認められなかった。ストレスにより起こる変化についてGR以外にもエピジェネティックな制御の可能性を探索するために現在次世代シークエンスを用いた解析並びにマイクロアレイを行ったが、明らかなターゲット遺伝子の抽出はできなかった。しかし、表現形として5週齢マウスの行動において、ストレス群により行動activityが上昇している傾向が認められていたため、今後中脳領域を中心に探索を続きて行きたいと考えている。
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