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2012 年度 実施状況報告書

食道感覚が覚醒時ブラキシズムを惹起する時の脳内活性部位の特定とその発現機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23593034
研究機関鹿児島大学

研究代表者

永山 邦宏  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)

研究分担者 宮脇 正一  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
大牟禮 治人  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
末永 重明  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00136889)
キーワードブラキシズム / fMRI / ストレス / 脳
研究概要

健常者に対し、計算課題によるストレス負荷を加えた時と胃食道内へ酸を注入した時の咬筋の筋電図測定を行い、咳や嚥下等を除いた両側咬筋の非機能時筋活動量が増加することを明らかにした。また、functional magnetic resonance imaging(fMRI)を用いて、計算課題によるストレス負荷を経時的に加えた時、意識的な噛みしめ時、および手の握りしめによる無意識の噛みしめ時の脳賦活部位を調べた。脳賦活部位の解析は、計算解析ソフトウェアであるMATLABと、脳解析ソフトウェアであるMRIcroとStatical Parametric Mapping 8を使用した。噛みしめ時は、過去の報告と一致したSensory motor cortex(SMC)の大脳皮質咀嚼野が賦活していた。また、無意識の噛みしめを想定した手の握りしめ時と計算課題によるストレス負荷時は共通して島皮質と前部帯状回が賦活していたが、SMCの大脳皮質咀嚼野は賦活していなかった。無意識の噛みしめには島皮質と前部帯状回が関連すると考えられた。また、今回、手の握りしめ時とストレス負荷時に大脳皮質咀嚼野が賦活していなかったのは咀嚼筋の筋活動の増加量が少なかったためであると考えられた。
胃食道内への酸刺激時には咬筋の筋活動が増加するという結果を得ていることから、今後は胃食道内への酸刺激時の脳賦活部位を調べ、これまでの脳賦活部位の結果と比較することで、無意識の噛みしめに関連する脳部位を特定し、覚醒時ブラキシズムの発現メカニズムを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計算課題を用いたストレス負荷や胃食道内への酸の注入による咬筋筋活動の増加を検討した後、ストレス負荷時や噛みしめ時のfMRI撮像と脳賦活部位の解析を行い、関連学会で結果を発表した。現在、結果をまとめ、論文を執筆中である。これらのことから本研究は研究計画に沿っておおむね順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

健常者を対象として、ストレス負荷時や胃食道内への酸刺激による覚醒時ブラキシズムの発現の検討と、ストレス負荷時や噛みしめ時の脳賦活部位の検討を遂行し、良好な結果を得た。今後はこれまでのノウハウを活かし、研究協力施設と連携することで、胃食道内への酸刺激時にfMRI撮像を行う方法を構築し、胃食道内への酸刺激時の脳賦活部位を調べ、関連する脳部位を検討する予定である。また、食道内への酸注入時にfMRI撮像を行う際に、嚥下や不快症状等による体動に影響され、MRIデータが正確に採得できない可能性がある。これは、fMRI撮像回数や撮像時間を短くし、できるだけ体動や嚥下によるデータの乱れを排除することで、被験者のMRIデータ採得を推進させ、脳機能を介した覚醒時ブラキシズムと食道内酸刺激との関連や覚醒時ブラキシズムの発現メカニズムを検討していく。

次年度の研究費の使用計画

ストレス負荷時、噛みしめ時、および手の握りしめ時のfMRI撮像を遂行することができたが、食道内への酸刺激時にfMRI撮像を行える方法の構築に時間を要し、食道内酸刺激時のMRIデータの採得が予定よりもやや遅れたため、その分の研究補助費等を次年度に使用する予定とした。ストレス負荷と覚醒時ブラキシズムの発現との脳賦活部位における関連性の検討は本年度遂行し、現在は食道内酸刺激時のfMRI撮像方法の準備が整いつつある。そのため、次年度は本年度から繰り越した分を含めた研究費を使用し、被験者の食道内酸刺激時のfMRI撮像を出来る限り早急に開始する。fMRI撮像にあたり、被験者の研究補助費やMRI施設使用料等を研究費として使用する予定である。食道内への酸刺激に関しては、使用する注入口付きカテーテル等は再生不可能な消耗品であるため、研究費内の消耗品の項目として使用する。また、データ採得と解析を遂行すると同時に、脳機能を介した覚醒時ブラキシズムと食道内酸刺激やストレス負荷との関連を検討していき、新たな知見が得られた時点で本年度と同様に関連学会での研究成果発表する。その際、旅費として計上している研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 睡眠時ブラキシズムに対するプロトンポンプ阻害剤の効果2013

    • 著者名/発表者名
      兼松恭子、大牟禮治人、永山邦宏、沼田政嗣、坪内博仁、宮脇正一
    • 学会等名
      第8回九州矯正歯科学会学術大会
    • 発表場所
      九州歯科大学講堂(福岡県)
    • 年月日
      20130202-20130203
  • [学会発表] 睡眠時ブラキシズムに対するプロトンポンプ阻害剤の治療効果の検討:プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験2012

    • 著者名/発表者名
      大牟禮治人、兼松恭子、永山邦宏、沼田政嗣、坪内博仁、富永和作、荒川哲男、宮脇正一
    • 学会等名
      第14回日本神経消化器病学会
    • 発表場所
      シェラトン都ホテル大阪(大阪府)
    • 年月日
      20121108-20121109
  • [学会発表] ストレス負荷時と噛みしめ時の脳賦活性部位の比較:fMRIを用いた研究2012

    • 著者名/発表者名
      上原沢子、永山邦宏、大牟禮治人、宮脇正一
    • 学会等名
      第71回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      盛岡市アイスアリーナ(岩手県)
    • 年月日
      20120926-20120930
  • [学会発表] 食道内酸刺激が覚醒時における咀嚼筋活動や自律神経活動に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      大牟禮治人、迫口陽子、兼松恭子、高田寛子、永山邦宏、宮脇正一
    • 学会等名
      第71回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      盛岡市アイスアリーナ(岩手県)
    • 年月日
      20120926-20120930
  • [学会発表] ストレス負荷時と噛みしめ時の脳賦活部位の比較:fMRIを用いた検討2012

    • 著者名/発表者名
      永山邦宏、上原沢子、大牟禮治人、宮脇正一
    • 学会等名
      第48回日本顎口腔機能学会学術大会
    • 発表場所
      松本歯科大学図書会館(長野県)
    • 年月日
      20120421-20120422
  • [図書] Sleep Disorders: New Research2013

    • 著者名/発表者名
      Shouichi Miyawaki, Takakazu Yagi, Kunihiro Nagayama, Haruhito Ohmure, Kyoko Kanematsu, Yoko Sakoguchi
    • 総ページ数
      in press
    • 出版者
      Nova Science Publishers, Inc.

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公開日: 2014-07-24  

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