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2011 年度 実施状況報告書

歯周病原因子と過大な機械的刺激が歯の移動の細胞シグナリング機構に及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23593037
研究機関鹿児島大学

研究代表者

前田 綾  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10457666)

研究分担者 宮脇 正一  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
八木 孝和  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
友成 博  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70398288)
松口 徹也  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10303629)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード機械的刺激 / 歯周病原因子 / TLR / Myd88 / 骨芽細胞
研究概要

H23年度研究計画:マウスの骨芽細胞における至適矯正力,過大な機械的刺激および歯周病原因子による刺激に対する細胞シグナル伝達経路の解析1)骨芽細胞に圧刺激を負荷したときの生化学的メディエーターのmRNAおよびタンパク産生の解析: MyD88(-/-)とMyD88(+/+)(以下WT)のC57BL/6新生仔マウスの骨芽細胞に圧刺激を負荷し,ケモカインのmRNA発現をリアルタイムPCRで定量した.WTの骨芽細胞では,定常的にMIP-2, MCP-1, RANTESの遺伝子発現が認められ,刺激後にいずれも増加した.しかし,MyD88(-/-)では,定常的なMIP-2の発現量は有意に低く,機械的刺激後のMIP-2とMCP-1の発現は,WTと比較すると有意に小さいことから,MyD88が機械的刺激によるケモカインMIP-2とMCP-1の発現に関与することが示唆された.また,歯周病原性因子である液性成分(Pam3CSK4) を加えた条件下で,培養ヒト歯根膜細胞に伸展刺激を加え,炎症性サイトカインの遺伝子発現を調べた結果,Pam3CSK4と伸展刺激の共刺激下では,IL-6,IL-8 およびMCP-1の発現が,それぞれの単独の刺激と比較して高い発現を示したことから,歯周病原性因子下での機械的刺激は,ヒト歯根膜細胞でのサイトカイン発現を増強させることが示唆された.2)細胞シグナル伝達機構の解明:ウエスタンブロット法でMAP キナーゼカスケードについて解析した.WTの骨芽細胞およびヒト歯根膜細胞では,機械的刺激とPam3CSK4添加後に3種類のMAPキナーゼのリン酸化が認められたが,圧刺激によるMyD88(-/-)のリン酸化量は,WTと比較していずれも減少した. 今後,各細胞での刺激条件を変え,ケモカインとサイトカインの動態を解析し,シグナル伝達経路の詳細な解明を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitro において,1)マウス骨芽細胞に至的矯正力による刺激を負荷したときの炎症反応や歯の移動に関連するサイトカインやケモカインの産生および骨の改造のマーカーの解析.2)さらに過大な機械的刺激や歯周病原因子の刺激によって生じる反応の解析.3)これらのシグナル伝達経路を明らかにするために、MyD88 などのノックアウトマウスの骨芽細胞を用いて,細胞レベルでの細胞応答を明らかにすること.が初年度の目標であり,MyD88 ノックアウトマウスの骨芽細胞を培養し,機械的刺激によるケモカインの動態や細胞シグナル伝達経路の解析を行った.また、ヒト歯根膜細胞における歯周病因子(Pam3CSK4)下での機械的刺激についての解析も行った.しかし、歯周病の環境想定モデルとして,PGE2とLPSを前投与したときの細胞の反応についても同様に解析が未実施であるため,来年度行っていく予定である.

今後の研究の推進方策

初年度と同様に,細胞に圧刺激や伸展力などの機械的刺激を負荷したときの細胞応答を観察する.今年度は,歯周病の環境想定モデルとして、PGE2とLPSなどを前投与したときの細胞の反応についても実験を追加し,さらにMyD88の役割をより詳細に検討するため,IL-1を中和した条件での実験も追加する.これらから,機械的刺激と歯周病性因子のMyD88とIL-1を介したシグナル伝達経路について解明し,in vitroでの結果をまとめ,学会発表と実験結果に対する論文の執筆と投稿を行う.さらに,in vivoの矯正治療モデルマウスにおける過大な咬合力と歯周病を負荷したときの歯の移動距離と歯周組織の生化学的反応の解析を行う.しかし,in vivoのモデル作製が難しく,実験の遂行に支障をきたす場合は、細胞シグナル経路の解明をより詳細に行うこととする.

次年度の研究費の使用計画

・骨芽細胞を採取するための実験用動物(ノックアウトマウスを含む)飼育費用として200 千円を配当する.・マウスの骨芽細胞培養実験のための培養器具および薬品に300千円を配当する.・in vitroの実験解析で使用する超純水の精製装置に400千円を配分する.・異常咬合力と歯周病および矯正治療のモデルマウスの作製のため歯科用材料に50千円を配分する.・切片作製やin situ hybridization および染色に200千円、研究成果を外国語論文として報告する際の英文校閲に50 千円、投稿料に50千円、印刷費に50千円を充当する.・国内の学会において研究成果を発表するために、20千円を充当する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Class II high angle case for which titanium screws were added after mandibular posterior rotation2012

    • 著者名/発表者名
      Maeda A, Tomonari H, Takada H, Miyawaki S.
    • 雑誌名

      Orthodontic Waves

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of CiaRH with resistance of Streptococcus mutans to antimicrobial peptides in biofilms2012

    • 著者名/発表者名
      Mazda Y, Kawada-Matsuo M, Kanbara K, Oogai Y, Shibata Y, Yamashita Y, Miyawaki S, Komatsuzawa H.
    • 雑誌名

      Mol Oral Microbiol.

      巻: 27 ページ: p124-135

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鹿児島大学病院顎変形症外来における外科的矯正治療について.2011

    • 著者名/発表者名
      前田 綾, 野添悦郎, 今村晴幸, 杉原一正, 中村典史, 馬嶋秀行, 宮脇正一.
    • 雑誌名

      鹿歯会報

      巻: 98 ページ: p11-13

  • [学会発表] 骨格性下顎前突症患者の咀嚼運動解析

    • 著者名/発表者名
      窪田健司,八木孝和,友成博,前田綾,宮脇正一.
    • 学会等名
      第7回九州矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      大分
    • 年月日
      平成24年(2012) 2月4日-5日
  • [学会発表] 歯周病原性因子存在下の培養ヒト歯根膜線維芽細胞への物理的刺激による細胞内シグナル伝達系の動態検討

    • 著者名/発表者名
      八木孝和、前田綾、植田紘貴、菅真有、宮脇正一.
    • 学会等名
      第70回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      平成23年(2011)10月17日-20日
  • [学会発表] 開咬患者における歯冠歯根比と咬合接触について

    • 著者名/発表者名
      上原沢子、前田綾、友成博、宮脇正一.
    • 学会等名
      第70回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      平成23年(2011)10月17日-20日

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公開日: 2013-07-10  

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