研究課題/領域番号 |
23593038
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
長谷川 大子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00295271)
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研究分担者 |
佐藤 正宏 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (30287099)
齊藤 一誠 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90404540)
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30200645)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
野口 洋文 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50378733)
齊藤 陽子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30404487)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | iPS細胞 / ameloblast / odontoblast / 遺伝子工学 |
研究概要 |
iPS細胞は自家移植が可能であり、細胞増殖も活発なため、再生医療への応用が期待されている。しかしながら歯学領域ではiPS細胞由来の歯関連細胞株の明確な樹立方法は確立されていない。そこで本研究では、in vivo で作製された奇形腫に由来する歯関連細胞群のみを選択的に濃縮する独創的なin vitro 組織再構成法を用いて、まだ達成されていないヒトiPS細胞から歯幹細胞、ameloblast、odontoblastなどの歯関連細胞株の樹立を目指す。更に、樹立された細胞群は親株であるiPS細胞が持つ癌化の特性を失っていることを証明することを目的とする。 まず、ameloblast や odontoblastなどの歯関連細胞に特異的に蛍光タンパクを発現するプラスミドを構築した。歯関連細胞への特異性が既に判明しているプロモーターを使用する。ameloblastには、amelogenin (AM) プロモーターを、odontoblastには Dspp(dentin asialophosphoprotein)プロモーターを用いた。ヒト iPS 細胞へのプラスミドの遺伝子導入と組換えヒト iPS 細胞の単離 現在、上記2種のプラスミドを皮膚繊維芽細胞由来ヒトiPS 細胞に nucleofection システムを用いて遺伝子導入し、G418/blasticydine S の2重選別により、pARIPN, pDEIPB の2種を内蔵する組換えヒトiPS 細胞を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で提案する独創的な手法がヒトiPS細胞由来の歯関連細胞株の樹立に実際に利用可能か検討している。ameloblastやodontoblastで特異的に働くpromoterを用いて、蛍光タンパク遺伝子と薬剤耐性遺伝子を同時発現するプラスミドを作製した。これをヒトiPS細胞に遺伝子導入し、組換えヒトiPS細胞の培養、維持の段階まで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施期間に、有力な幹細胞マーカーが発見された場合、研究の方向性をそちらにシフトする可能性もある。歯の幹細胞であれば歯髄幹細胞や乳歯幹細胞など何れのタイプも使用可能で、今回提案する独創的な系がヒトiPS 細胞由来の歯幹細胞樹立に有効であることを示すのが本計画の狙いであるからである。 得られた組換えヒト iPS 細胞をヌードマウス精巣内へ注入し、奇形腫を形成させる。奇形腫内にいかに多くの歯関連細胞を誘導できるかは、移植前のヒトiPS細胞の前処置が決め手となる。組換えヒト iPS細胞をbFGF 不在下懸濁培養し、いくつかの初期分化細胞が存在する胚様体を移植する群(実験-1群)、組換えヒトiPS細胞と妊娠後期(Day 15-18)のマウス胎仔口腔近傍の細胞の混合物を移植する群(実験-2群)、組換えヒト iPS 細胞とBMP や GDF11 の混合物を移植する群(実験-3群)、組換えヒトiPS細胞をそのまま移植する群(対照群)で検討する。 また、歯形成が顕著であったと判明された奇形腫を選び、これを初代培養系に付す。培養系に ameloblast や odontoblast が存在している場合、puromycin 耐性を示し、薬剤選別から生存が可能と考えられ、ameloblast は赤蛍光を odontoblast は緑蛍光を示す。それらの細胞を限界希釈法でcloning する。ameloblastと odontoblast の細胞株について、ameloblast 株は内在性の ameloblastin/amelogenin mRNAを発現していること、odontoblast 株は Dspp mRNA を発現していることを RT-PCR 法で調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費使用計画は以下のごとくである。物品費として、細胞培養試薬、分子生物学用試薬などの消耗品を予定している。旅費として、日本小児歯科学会、日本口蓋裂学会への参加、新潟大学への研究打ち合わせを予定している。謝金として、研究補助の謝金を予定している。その他、学会参加費を計上した。
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