研究概要 |
【目的】平成25年度は、ヒト破骨細胞分化におけるmicroRNAの発現を網羅的に解析して、これまで得られたマウスの結果と比較することを第1目標とした。次に、平成24年度の研究から、マクロファージや破骨細胞がmicroRNAを含むExtracellular Microvesiclesを分泌することがわかったので、ヒト細胞でどのようなmicroRNAを含むのかを調べることを第2目標とした。 【方法】ヒトCD14+ cellsをM-CSFとRANKL存在下で培養することで、破骨細胞を分化させた。破骨細胞へ分化する前のマクロファージの時点と、成熟した破骨細胞へ分化した時点でTotal RNAを回収し、マイクロアレイ解析とqRT-PCR法でmicroRNAの発現を解析した。また、ヒト単球様細胞株THP-1 をphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA) 存在下で培養し、ヒトマクロファージ様細胞を得た。この細胞を72時間培養した培養上清からExtracellular Microvesicles ペレットを回収し、マイクロアレイ解析をした。 【結果】miR-21は、マウス破骨細胞分化過程で発現が上昇し、分化に重要な役割を担っているとされる。しかし、我々の実験では、マウス破骨細胞分化過程とヒト破骨細胞分化過程の両方で、miR-21の有意な発現上昇はなかった。miR-155とmiR-223はマウス破骨細胞分化過程でその発現が減少し、これらの過剰発現によって、マウス破骨細胞分化は抑制される。しかし、これらのmicroRNAsは、ヒト破骨細胞分化過程では、マウスの場合と違って、むしろ発現上昇する傾向が認められた。一方、ヒトマクロファージ様細胞が分泌するExtracellular Microvesicles中のmicroRNA発現では、解析した1,222種類のmicroRNAsのうち、53種類が検出された。miR-1246 が最も多く発現し、 miR-574-5p とmiR-4281がこれに続いて豊富に発現していた。
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