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2011 年度 実施状況報告書

矯正治療に伴う歯根吸収部の破歯細胞形成を誘導するセメント細胞アポトーシスの関与

研究課題

研究課題/領域番号 23593044
研究機関日本大学

研究代表者

葛西 一貴  日本大学, 歯学部, 教授 (30169396)

研究分担者 山口 大  日本大学, 歯学部, 准教授 (60333100)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード歯根吸収 / 破歯細胞 / アポトーシス / セメント細胞 / 矯正治療
研究概要

【目的】歯科矯正学的歯の移動において、歯根吸収は予測困難な偶発症の一つである。歯根吸収の原因は複雑であるが、本講座では歯根吸収の発生に骨吸収性サイトカインが関与していることを報告している。ラットの実験的歯の移動時に、圧迫側歯根膜に生じた硝子様変性組織に隣接する有細胞セメント質のセメント細胞がアポトーシスを示し、さらにセメント芽細胞が骨芽細胞同様に破歯細胞の誘導に大きく関与しているとの報告や、矯正学的歯の移動時に圧迫側の圧縮された歯根膜細胞は移動の初期段階でアポトーシスによって除去され、同じ部位に骨吸収が認められたとの報告をしていることから、歯根吸収周囲組織のアポトーシスが破歯細胞の誘導に関与している可能性が考えられる。細胞死形態は、アポトーシス、オートファジー、ネクローシスに大きく分けられるが、細胞死がおきる時、これらの細胞死形態が混在している場合が多い。そこで本研究ではラットを用いた実験的歯根吸収モデルを用いて、歯根吸収部組織の破骨(歯)細胞形成と細胞死について免疫組織化学染色により検討を行った。【資料および方法】wistar系雄性ラットの上顎第一大臼歯を7 日間10 gと50 gの矯正力で近心側へ牽引し、歯根吸収を惹起させた。当該部のパラフィン包埋切片はH.E.染色、TUNEL染色、TRAP染色を行った。【結果及び考察】10g群では12、24 時間で歯槽骨側にTUNEL陽性細胞が認められ、5 日後に歯槽骨側の吸収、TRAP陽性細胞がわずかに認められた。50g 群では12時間後には歯槽骨側に、24時間後には歯槽骨・歯根側にもTUNEL陽性細胞が認められ、7 日後に歯根吸収窩にTRAP陽性細胞が認められた。このことから歯槽骨・セメント質の吸収部歯根膜線維芽細胞の細胞死が破骨(歯)細胞の分化に関係している可能性が考えられる

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は(1)ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにてセメント細胞にapoptosis related protein (CICEB, PYCARD, BAK-1, TNFRSF)およびanti- apoptosis related protein (BCL-2)の発現を検討することであった。得られた結果として、10g群では12、24 時間で歯槽骨側にTUNEL陽性細胞が認められ、5 日後に歯槽骨側の吸収、TRAP陽性細胞がわずかに認められた。50g 群では12時間後には歯槽骨側に、24時間後には歯槽骨・歯根側にもTUNEL陽性細胞が認められ、7 日後に歯根吸収窩にTRAP陽性細胞が認められた。以上のことから、予定の90%は遂行できているので、研究の進行状況はおおむね順調である。

今後の研究の推進方策

平成24年度は骨髄細胞・骨細胞の共培養を行う。この培養方法はすでに本講座で確立しているので、予定通り研究を推進する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は(1)三次元培養系を用いた骨髄細胞・骨細胞共培養系にcompression forceを加え、RANKLとケモカイン(IL-8, MIP-1, MCP-1)の産生量と遺伝子発現量を検討する。(2)さらに、骨細胞に紫外線照射を行い人為的にアポトーシスを起こし、CICEB, PYCARD, BAK-1, TNFRSF, BCL-2およびアポトーシス(apoptosis)阻害剤であるカスパーゼ(caspase) 3の発現を検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 矯正学的歯の移動時に生じる歯根吸収と歯根膜線維芽細胞の細胞死との関連性について

    • 著者名/発表者名
      船越 麻理、山口 大、浅野 正貴、中嶋 亮、葛西 一貴
    • 学会等名
      第70回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      平成23年10月18日

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公開日: 2013-07-10  

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