研究概要 |
本研究の目的は矯正治療時の歯根吸収発生メカニズムの解明の一環として、破歯細胞形成・誘導にセメント細胞のアポトーシスが関与しているという仮説を基に、ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにて、破歯細胞形成部にセメント細胞のアポトーシスが起こっているか観察する。さらに、破歯細胞形成とセメント細胞アポトーシスの関係を解明するためにin vitroで三次元歯根膜線維芽細胞・骨髄細胞・骨細胞共培養系に対する加圧刺激によるアポトーシスが破歯(骨)細胞形成を促進するかを検討する。 24年度までに In vivoにおいて、圧迫側歯根膜組織に炎症性サイトカインであるTNF-α陽性細胞の発現が認められた。また、caspase 8陽性細胞およびTUNEL陽性細胞の増加を認めた。In vitroにおいては、compression force群の歯根膜細胞の細胞内にROS発現が認められた。またフローサイトメトリーにおいて、細胞周期のG1アレスト、アポトーシス細胞の増加が認められた。ヘキスト33258染色では核の断片化などの形態変化が認められた。 25年度ではin vivoではラットを用いた実験的歯根吸収モデルにて、免疫組織化学染色法でCICEB, PYCARD, BAK-1, TNFRSF, BCL-2の発現を認めた。三次元培養系を用いた骨髄細胞・骨細胞共培養系にcompression forceを加えた結果、RANKLとケモカイン(IL-8, MIP-1, MCP-1)の産生量と遺伝子発現量の増大を認めた。 以上の結果から、破歯細胞形成・誘導にセメント細胞のアポトーシスが関与している可能性が示唆された。
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